「ロシアは国内でお金が回っているので一流劇場は満席です」毎日新聞モスクワ支局長が伝えた驚きの日常とは
モスクワの意外な実態に大竹も室井も驚いた。毎日新聞モスクワ支局長の大前仁さんが、6月30日の大竹まことゴールデンラジオにリモートで出演し、現地の様子を伝えていただいた。
大竹「モスクワはどうですか?」
室井「今危なくないんですか?」
大前「モスクワに関しては、ほぼ安全です。4月ぐらいからドローンが飛んでくるというような情報がありましたが、多くの市民はあまり心配していません。むしろ制裁をかけられていることもあって、昔に比べ多くのロシア人は隣接する欧州の国に出られないので、ロシア国内でお金が回っています。一流劇場などに行くと、ほぼチケットが取れない、満席状態が続いていますので、外国で思われているようなイメージとはもしかしたら違うかもしれません。」
室井「全然違う。YouTubeとかで画像とか流れてきてますけど、想像していたのと違います。」
大前「外国人の報道機関は、なかなか国内のいろんなところへ行けない状況です。我々がロシアのすべてを見られているかというと、残念ながらそうではありませんが、ロシアとモスクワに関しては表面的には平穏な生活が続いています。」
大竹「知りたいのは今回のワグネルのことです。これはロシア市民の人たちはもうみんな知っているんですか?」
大前「プーチン大統領は2回国営テレビを使って演説などをしました、ロシアの中でツイッターなど西側で使われているSNSを使おうとすると、いろいろな制限がかかりますが、ロシア国内で使われているSNSもありますので、多くの人は知っています。ただし、どれぐらい知っているのかは人によって違うと思います。例えば国営テレビなどしか見ていない高齢の方の中には、大統領が演説することはわかっているけど、何を演説するのか中身がわからないという人もいます。ただ、ワグネル、プリゴジン氏を巡って大変なことが起きたというのは認識していると思います。」
室井「でもみんな劇場に行ったりして、慌てたりしないんですか?」
大前「私が見たことに限って説明すると、今月24日土曜日に私は、欧州にあるロシアの飛び地であるカリーニングラード州に出張していました。そこにこのニュースが入ってきたので、私は自分自身がモスクワに帰れるのか心配になりました。ところが、その日の夕方に空港からモスクワに戻るまでの間、周りを見る限りでは全くパニックはありません。飛行機が着陸するのかと心配をするような人たちも全くいないということですね。私の乗った飛行機がモスクワに到着したのは、プリゴジン氏をベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介して合意が結ばれ、モスクワに向かっていた部隊を引き上げるというニュースが入った頃だったのですが、飛行機が着いてSNSを調べるような人はほとんどいません。ソ連時代からの伝統でロシアでは飛行機が着陸すると乗客が拍手をするんですが、周りを見る限り心配する様子は全くありません。発着ロビーに行っても、長い列や慌てて出国する人もなく、私が見た限りモスクワにおいては大きな混乱は見られません」
大竹「混乱がないということは、この事件はあまり気にしていないんですか?」
大前「その3日後に、モスクワ支局スタッフの力を借りて、大体12、3人に話を聞いてみました。この人たちは何が起きたか知っていて、ワグネルやプリゴジン氏についてどのような印象・思いを抱いているのかというと、人によってバラバラです。もちろん批判する人もいます。もともとワグネルは雇い兵の組織ということでロシア国内でも印象がよくありません。ところが、これはなかなか外国では理解しにくい話なのですが、ロシアが今続けている軍事作戦の賛否は抜きに、このような部隊が自分たちの国を守ってくれているという意識は、実はロシアで必ずしも弱くないんです。「ワグネルは自分たちの国を守ってくれるから、その点は感謝している」という声もありました。」
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