「解散めぐる岸田劇場」~ ニュースパレード  山本香記者取材後記

「解散めぐる岸田劇場」~ ニュースパレード 山本香記者取材後記

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

解散めぐる岸田劇場

6月16日、立憲民主党は内閣不信任案提出。衆議院本会議で不信任案の趣旨弁明を行った泉代表は、マイナンバーカードの誤登録問題や、政府の防衛費増額などを批判。「政権を担う資格がないのは明白で、速やかに退陣すべき」など、次々と厳しい言葉を投げかけたが、岸田総理は終始、薄い笑みを浮かべて聞いていた。

不信任案をめぐって岸田総理が解散で迎え撃つ可能性に含みを持たせながら、15日に見送りを表明したことについて泉代表は記者会見で、解散権をもてあそぶような態度は与野党から批判がでているとし、「一国の総理としていただけない。今回の姿勢は過ちであるとご注意申し上げたい」と批判した。

不信任案は、自民公明の与党に、野党である日本維新の会、国民民主党が反対に回り、反対342、賛成107で否決された。

 

主演男優賞

「こんな茶番劇、誰が仕組んだんだ!」「総理に踊らされた」という声が与野党議員から相次いで上がった。複数の永田町関係者にこの茶番劇の主演男優賞は誰かと尋ねると、そろって「良くも悪くも岸田総理」という答えが返ってきた。

6月13日の記者会見で岸田総理は、解散総選挙について「いつが適切なのか諸般の情勢を総合して判断していく」と述べた。その上で、不信任案は解散の大義になりうるのかという記者の質問に対し「現時点ではお答えすることは控える」と述べ、にやりと含み笑いを見せたことから、与野党議員の間の緊張感が走った。

国会では、早くからサミット後に岸田総理が解散に踏み切るのではないかという憶測が流れ、春先には予算成立後に解散するという怪文書まで出回った。以来、解散風は吹いたり止んだりを繰り返し、そのたびに与野党議員は浮足立っていた。
そして6月15日、岸田総理は「今国会は解散しない」と明言。解散をめぐってざわついていた永田町の空気は一気に冷めた。

総理の15日の発言は、記者から問いかけてはいるが、総理サイドから不信任案提出について答えてもよいという申し出があり、行われたものだった。
岸田総理の周辺は、一連の総理の言動は恣意的なものではないと強調するが、結果的に永田町を混乱させた岸田総理、解散をもてあそんだと批判されても仕方がない。

ライバルが消えた
 
 

通常国会での解散を見送ったことで、解散戦略を練る余裕ができた岸田総理だが、現在、永田町で取りざたされるのは、まず秋の臨時国会冒頭解散だ。議員辞職を表明した自民党の高野光二郎参議院議員の辞職が9月15日までに認められれば、10月22日に補欠選挙が行われる。それに合わせて解散というシナリオだ。
次に来年の通常国会の間のどこかで解散。国会終盤の解散となると、東京都知事選挙とダブルになる可能性もある。また来年秋の総裁選挙での再選を狙う岸田総理としては、直前に選挙で勝利すれば総裁選も安泰というわけだ。その総裁選挙で岸田総理の最大のライバルと目されている河野デジタル担当大臣について、マイナンバーカードの誤登録問題で評価を下げ、次の総裁選出馬は厳しくなったという見方が浮上した。
つまり、総理の最大のライバルが消えたということだ。

来年秋の現行健康保険証の廃止は予定通り進める方針を示した岸田総理だが、誤登録問題がこれ以上広がると、方針転換も避けられない。再発防止に万全の対策を取ると強調するが、国民不安が広がり2015年の消えた年金問題を超える大問題に発展すれば、総裁選挙どころではなくなるのは岸田総理の方かもしれない。

 

 

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