「とにかく何やっても日本でうまくいかなかった」ネスレ日本元社長、マーケティングの苦労語る!
6月19日の「ノバセルpresentsマーケティング進化論」は、ネスレ日本の元社長兼CEOで、現在はケイアンドカンパニー代表の高岡浩三さんが出演。ネスレ日本でマーケティングの仕事を始めたころは、何をやってもうまくいかなかったそう。これをどう突破したか?語っていただいた。
ネスレ日本元社長兼CEO、ケイアンドカンパニー代表・高岡浩三氏「とにかく何やっても日本でうまくいかなかったです。例えば全く新しい新製品だったら、テレビの広告を打つことである程度知名度が上がったりっていうのはあるんですけど。ネスレの場合、日本の企業みたいに次から次へと新製品を出さないんです。持ってるブランドでいかに売上と利益を上げていくか。ネスレ日本の場合はネスカフェとキットカット。この二つは、実はもう99%、認知率もあって、誰でも知ってる。それをテレビでいくら広告やっても、あるいは中身を変えても、売上と利益が上がらない。要するにマーケティングの袋小路に入ってるようなもの。そういう中でも売上と利益をずっと求められるので、そこでどうやったらいいのかっていうことを考えていくと、僕のキャリアが20世紀の終わりから21世紀にかけてだったので、今僕らが勉強してきたマーケティングもかなり古いんじゃないかと。だからそこからのスタートですよ。要するに結果が出ない。出ないのは何かやり方が悪いんじゃなくて僕は理論が古いんじゃないかと。要するにフィリップ・コトラー先生の書いたマーケティング理論は、実際に起こってることは後から学者が考えてまとめてることなので、僕たち実業家プロの経営者は先に行かなきゃいけないんじゃないか。そういう思いがあったんですね。やっぱり特別なマーケティングっていうものを展開しないことには突破できないんじゃないかなと思ってます。」
ノバセル株式会社代表取締役社長・田部正樹氏「なるほど。ただ前提として、教科書的なものも全部入っていて学んでいた上で、そこでイノベーションを起こしていかないと厳しいということですよね」
高岡「おっしゃる通りですね」
田部「その中でネスカフェのビジネスモデルっていうところで、一杯から味わえるというコーヒーマシンを開発して800万台以上を販売されたということがあるんですけど、これに気付かれたポイントってどのようなものだったのですか?」
高岡「その前にキットカットをずっとやってきて、受験キャンペーンだとかあるいは期間限定だとかそういった新しいビジネスモデルで成功したことで、何で成功できたのかを考えた時に、最終的にやっぱりマーケティングて顧客の問題を発見して、それを解決して付加価値を作ることじゃないかと。例えば受験キャンペーンは、どんな問題を解決したかっていったら、受験生本人とか親御さんのストレス。キットカットはきっと勝つと聞こえることで解決した。要するに味とか品質ではないです。ブランドです。これは日本でしか通用しない。しかもこれはお客さんが作ってくださった。僕らが作ったんじゃないんです。お客様が、特に九州の方で先にそういうことが広まって、だんだんと全国にいっていた。それを僕らが静かに広めただけなんですよ」
田部「顧客も気づいていない課題に気づくとか、解決を諦めている課題に気づくっていう話と、新しい現実を理解するということ。順番はどっちが先なんですか?」
高岡「やっぱり新しい現実を先に見ることですね。よく考えてみたら、家庭のコーヒーの消費が核家族化とかで減っていってる。外では飲むんだけど、考えてみたら職場で美味しいコーヒーを家にいながらみたいに安く美味しく飲みたい。例えば自動販売機の缶コーヒーだと100数十円出して、買わなきゃいけない。それがなければ、わざわざ外へ出てコンビニに行かなきゃいけない。でもそんな暇はないから大体みんな我慢してる。それが諦めてる問題ですよね。そこにネスカフェアンバサダーみたいなものがあれば、家にいるかのごとく、1杯30円でめちゃくちゃ美味しいコーヒーが飲める。というふうに気づけるんですよ。後から聞いたら、当たり前の話なんですけど、明らかに諦めてる問題だから、誰も市場調査してもこれが欲しいとは言わない」
「ノバセルpresentsマーケティング進化論」は毎週月曜19時30分~20時まで文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。日本最大級の音声プラットフォーム「Voicy」でもアーカイブ配信しています。
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