番外編「メイキング・オブ・ハリー・ポッター」
文化放送報道デスク兼記者兼プロデューサーの鈴木敏夫(鈴木BIN)が、時事解説などとともに映画紹介をしています。
文化放送公式ホームページにて「第5スタジオは礼拝堂」も連載中
としま園がホグワーツに変身した! 今週金曜日(2023年6月16日)に、新施設「メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がオープン
ハリー・ポッターはつくづくユニークな映画だと思う。ファンタジーの多くは、「Sometime Somewhere」〜つまり、いつの時代の話なのか、どの国の出来事なのか、中には果たして地球の物語なのか?を明示しないところに魅力があるとも言えるのだが、この「ハリポタ」はずいぶんと現実めいている。
クラシカルなムード満点な物語なのに、よく考えれば1990年代の話なのだ! つまり現代という設定だと表明している時点で、すでに意表をついている。ロンドンからホグワーツに向かう列車が出発する駅も、ホームこそ実在しないもののロンドンっ子が日常使いしているキングクロス駅だ。
上が本物のキングクロス駅
こちらはメイキング•オブ・ハリー・ポッターのキングクロス駅。 おなじみ「9と4分の3番線」とホグワーツ特急
ホグワーツ城もエディンバラ城をモデルにしたと言われるように、物語の随所にはスコットランドの首都エディンバラの景色が重なる。
ハリポタは、日常を土台にして非日常のパラレルワールドを描いたことで、より一層人々を魅了してきた。エディンバラにあるエレファント・カフェはハリポタファンの聖地だ。作者のJKローリングが生活保護を受けながら作品を書き上げたのは「このカフェ」の「この席」なのだから、聖地にならないはずがない。それもまるで百年前の逸話のように思えるが、作者本人も健在だし、カフェ1杯を頼んでハリポタを書き続けたと言うエピソードも、つい最近の出来事なのだ。現実めいた話、地味なエピソード、実在する建造物たちのはずなのに、まさに魔法をかけられたように夢の世界に変身する。本当に面白い仕掛けだと思う。
長く前説を書いてしまったが、6月16日(金)、東京・練馬区のとしまえん跡地に「メイキング・オブ・ハリー・ポッター」という名の新しい施設が誕生する。大阪のUSJのようなアトラクション型ではなくウォークスルー(見て歩く)、一種の博物館や展示館のような造りとなっている。14日(水)に行われたマスコミ公開にお邪魔させて頂いた。
最初に入る部屋は絢爛豪華な大広間、映画そのままの世界
映画の登場人物(=役者たち)の等身大フィギュアが並ぶ(衣装もそのまま)。ホグワーツの森番ルビウス・ハグリッドはひときわ大きいのだが、演じたロビー・コルトレーンの身長は185センチと極端に大きいわけではなかった。それは靴底の厚さでよく分かる。この名わき役は残念ながら去年亡くなった。
ホグワーツの肖像画。コーナー内にあるカメラで自撮りすると、飾られた肖像画のどれかに、撮影した自分の姿が映ると言う遊びの仕掛けもある映画に登場する「動く階段」もある。この階段は動かないが、階段の先の不思議なドアを開けるとどんな世界が広がっているのかと想像が膨らむ。
魔法省のコーナー。日本版施設のオリジナルだそうだ
屋外には、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で活躍した3階建てのバスも。
ブリベット通り4番地にあるダーズリー家
ハリー・ポッターが暮らしていた階段下の物置(かなりリアル)
このホグワーツ橋は、中を歩ける(原作には無かったそうだが、監督のアルフォンソ・キュアロンが考えついだそうだ)
「メイキング・オブ・ハリー・ポッター」は、今週金曜日(6月16日:金曜日)に正式オープンする。入場には予約が必要で、初日は完売だそうだ。なお、初日は、文化放送・伊藤佳子記者が、全国ネットの「ニュースパレード」で会場から中継しますので聴いてください!
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Profile
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1964年、奈良県生まれ。関西学院大学卒業後、1988年、文化放送にアナウンサーとして入社。その後、報道記者、報道デスクとして現在に至る。趣味は映画鑑賞(映画ペンクラブ会員)。2013年「4つの空白~拉致事件から35年」で民間放送連盟賞優秀賞、2016年「探しています」で民間放送連盟賞最優秀賞、2020年「戦争はあった」で放送文化基金賞および民間放送連盟賞優秀賞。出演番組(過去を含む)「梶原しげるの本気でDONDON」「聖飢魔Ⅱの電波帝国」「激闘!SWSプロレス」「高木美保クロストゥユー」「玉川美沙ハピリー」「NEWS MASTERS TOKYO」「伊東四朗・吉田照美 親父熱愛」「田村淳のニュースクラブ」ほか