格好よく優しい自衛隊に憧れた五ノ井里奈。「声をあげて」「戦わなきゃいけない」
5月31日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに元自衛官の五ノ井里奈さんが登場した。五ノ井さんはかつて訓練中に性被害を受けたと告白している。その体験がノンフィクション作家・岩下明日香さんの力を借りてまとめられた著書『声をあげて』が現在発売中である。
大竹まこと「そもそも五ノ井さんは自衛隊にとても憧れを持っていらっしゃったらしいですね?」
五ノ井里奈「そうですね。私が小学校5年生のときに東日本大震災で被災して、避難所生活を送っていました。そこに陸上自衛隊の方々が災害派遣に来てくださって。そこで男性隊員も女性隊員もすごく親切に、笑顔を絶やさず接してくれる姿を見ました。お風呂をつくって(沸かして)くださって、ずっと人が入っていれば温くなる。そういうときに女性自衛官の方が何度もバケツで往復してくれる姿を見て、なんて格好いい職業なんだと」
大竹「五ノ井さんのお宅はどうなったんですか?」
五ノ井「一軒家でしたが津波で全壊して。愛犬も2匹亡くなってしまったんです。そういう状況でした。地震が来て津波が来る前に小学校、教室の2階に逃げて。30分後ぐらいに津波が、という感じでした」
大竹「小学校でたくさんの方が亡くなったという情報もありました。そういう状況の中で、女性の自衛隊員の方が。バケツで汲んでくるといったって、相手は水だから、重たいのを何回も何回もね」
五ノ井「何十回もしてもらっている姿を見て本当に格好いいと思って。そこから交流が深くなって、お風呂上がりに腕相撲をしてもらうとか(笑)。やっぱり負けるんですよ。『大人になったら勝ちます!』みたいな会話もして。そこで憧れを持ちましたね」
大竹「同時に五ノ井さんは柔道もお好きだったんですね?」
五ノ井「4歳から始めて、20年ぐらいやっています。オリンピックを目指していたので、自衛隊体育学校というところに入校したい、という思いもありました」
大竹「そして陸上自衛隊へ。かなり辛辣で厳しい現場が待っていましたね。受けた具体的な内容についてはフラッシュバックの恐れもあるので省かせていただきます。ただ五ノ井さんは、そういう状況に追い込まれました」
五ノ井「そうですね。追い込まれたときに少し、声を上げてみたことはあったんです。でも対応されなかったり、話していないのに私が上司に話したんじゃないか、と言われたり。被害を受けたのに『声を上げたのが悪い』という噂みたいなものが回って、職場にいづらい雰囲気に、ということもありました」
五ノ井さんは理不尽な対応を受け、「希望が見えない」「自ら命を絶とう」と思うこともあったという。部屋で延長コードを持ち、自らの首にかけたとき、震度6弱の地震が起きた。
五ノ井「(地震で)我に返ったというか。このまま死んではいけない、戦わなきゃ、という気持ちに一瞬で変わりました。東日本(大震災)のことも思い出して、生きられなかった人がいるのに、なんで自ら命を絶とうとしているんだ、と。『泣き寝入りしてはいけない』と思った瞬間でした」
大竹「優しい自衛官に救われた、というのが蘇って。こんなところで死んじゃいけない、と」
五ノ井「私だけが被害者だったわけじゃないので。これ以上の被害者を出したくない、という思いで声をあげていった、という感じですね」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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