公明党「東京で自民党を推薦しない」と最後通牒したのはガチンコか駆け引きか~ ニュースパレード  山本香記者取材後記

公明党「東京で自民党を推薦しない」と最後通牒したのはガチンコか駆け引きか~ ニュースパレード 山本香記者取材後記

Share

 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

最後通牒

 

 

5月25日、次期衆議院選挙に向けた自民公明両党の幹事長、選挙対策委員長の会談が国会内で行われ、公明党は自民党に対して焦点となっていた候補者調整について東京28区への擁立の断念と、東京における自民党候補者を推薦しないと伝えた。

会談後、公明党の石井幹事長は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と述べた上で「東京における自公協力は解消する」と語った。

公明党が自民党に伝えたのは以下の5点である。

①東京の2議席目の小選挙区について自民党とこれ以上交渉はしない。東京28区は候補者を擁立しない。
②東京29区については自民党からの推薦を求めず、公明党単独で戦う。
③東京のそれ以外の選挙区で、公明党は自民党候補を推薦しない。
④今後の都議選首長選などにおいても自公の選挙協力は行わない。
⑤都議会における自公の協力関係は解消する。

 

事の経緯

 

次期衆議院選挙での10増10減にからみ、25から30に5つ小選挙区が増える東京で、公明党が現職議員とは別に東京28区に候補者を擁立したいと自民党に伝えたことで自民党東京都連が反発。

これに対し公明党は、応じないなら東京での選挙協力を解消する可能性があると伝えたが、自民党が事実上拒否。

対して公明党は5月25日に中央幹事会を開き、次期衆議院選挙では東京で自民党候補を推薦しないことなどを正式決定した。

公明党によると、当初自民党は28区の候補者は居ないと説明したため、公明党として擁立を決定。

それを伝えた途端、すでに自民党東京都連が候補者を決めたという回答が返ってきたことで、信頼関係が崩れたと説明している。

 

ガチンコかプロレスか

 

国会では事前に手を握ったうえで、対決姿勢をあえて外に見せる「プロレス」という永田町用語がある。

今回は「ガチンコ」か「プロレス」のどちらなのか。永田町では見方が割れている。

「ガチンコ」と見る一部自民党議員からは「公明党とは連立解消だ」という怒りの声や、学会票に助けられてきた東京選出議員からは不安の声が聞こえてくる。

 

 

また、ガチンコとみる自民党議員は、公明党を怒らせたA級戦犯は萩生田東京都連会長だと声を荒げた。

28区に萩生田氏が擁立しようとしているのは安藤高夫元衆議院議員64歳だ。

安藤氏は、萩生田氏の選挙区である八王子で総合病院を経営する医師で、萩生田氏のタニマチでもある、いわば恩人のような存在だ。

個人的な事情で候補者擁立に動いた萩生田氏に対する反発は、自民党内でも広がっている。

特に公明党は、萩生田氏に何らかの責任を取ってもらわないと腹の虫がおさまらない。

一方、「結論ありきの自公プロレスだ」と指摘する声も少なくない。

総裁派閥のベテラン議員もその一人だ。

公明党は連立を解消するつもりはないし、自民党も、公明党の支持母体である創価学会の票がなければ当選が厳しくなる議員もかなりいる。

このことは互いに分かった上で、ぶつかっているのは、28区問題だけではなく、6月にまとめる骨太方針の中身か、別の取引案件が持ち上がっていて、その結果次第で、東京推薦問題は収まるという見方だ。

 

プロレスか、ガチンコか?5月30日に再度、自公両党の幹事長の会談で何が見えてくるのだろうか。

 

解散風

 

※写真は官邸提供

 

28区をめぐる自公の亀裂により、解散は遠のいたという見方が出ている。

さらに岸田総理の長男で総理秘書官を務める祥太郎氏の問題も浮上。

昨年末、総理公邸で親族を招いて忘年会を行ったことが週刊誌に報じられ、官邸関係者もあきれ顔。

この問題も解散を遠ざけたと野党幹部が指摘する。

5月26日の参議院予算委員会への出席を控えた岸田総理は、麻生副総裁、松野官房長官、茂木幹事長とホテルで会談した。

内容は自公問題はもちろん、解散についても話が及んだことは想像に難くない。

長男の不祥事に自公の亀裂を抱える中、野党側が「解散は当分ない」と油断する今が格好のチャンス。

公明党との問題も、もしかしたら解散をけむにまくプロレスの一幕だったら相当な策士と言わざるを得ない。

今年秋の解散がささやかれる中、一部で6月初めにも解散を打つのではないかという話も耳に入る。

 

解散風は、不気味さを増している。

 

 

 

ニュースパレードPodcast

 

そしてGoogleスマートスピーカー (#GoogleHome#GoogleNest )や、 androidスマホから聴けるようになりました。

「ニュースパレード聴かせて」と話し掛けてみてください。

Share

関連記事

この記事の番組情報


ニュースパレード

ニュースパレード

月〜金 17:00〜17:15

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介します。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポー…

NOW ON AIR
ページTOPへ