「お客様は神様です」の時代から、従業員を守る時代へ!?
4月27日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーは「お客様は神様です」という言葉をテーマに、企業や店と客の関係について語り合った。
西川あやの「カスタマーハラスメント、カスハラ問題って、ここ数年よく聞くという印象あると思うんです。2009年の消費者庁の発足で、企業のコンプライアンスを重視されるようになった中で、過度に権利意識を持ったり、企業に不信感を持ったりする人が増えた。ストレス社会で、店員さんを攻撃することで多少の正義感、承認欲求が得られるため、標的にされている側面もあるんじゃないか、ということで国とかが乗り出したらしいんですね」
入山章栄「昔から日本に『お客様は神様です』というのは根深いと感じていて。もともとお客さんが強く苦情を言うことはあったと思うんですよ。むしろ企業側が、問題だと考えだしている中での流れでしょうね」
西川「そうですね」
入山「経営学者として、なんでこうなってきているかというと、根本の理由のひとつは終身雇用制が崩れているからだと思うんです」
中田花奈「ああ~」
入山「なぜかというと、終身雇用制度というのが、日本の伝統的な会社にはあって。あれって新卒で社員が入ったら、ずっとそこにいる、という仕組みになっているじゃないですか。社員を甘やかせる制度だと言われるけど、会社を甘やかせている制度なんですよ」
西川「もっと言ってください」
入山「文化放送の経営陣の皆様、お聴きでしょうか(笑)」
西川「違います、違います(笑)。経営者側も安心しちゃう、ということですね?」
入山「そう。経営陣が『社員が辞めない』と思うから、逆に何してもいいと思うわけです。経営に緊張感がない。『こいつどうせ辞めないだろう』と思うから。終身雇用の時代はほかに行く場所ないから、ひどい扱いを受けている従業員の方もいたと思うんですね。あれは経営を甘やかしているんです」
中田「うん」
入山「だけど、それが崩れてきているじゃないですか。本当にダメな会社だと人が辞めちゃうので、『理不尽なことしたら社員辞めちゃう』と気づきだした。まず社内の問題を解決していこう、ということでパワハラ、セクハラの問題が少しずつだけど改善されてきた。でもまだ心が疲れていそうな従業員がいる、と思うと、それはお客さんからのやつなんですね」
中田「うん……」
入山「お客さんからクレームが来ることで、コールセンターの方や、お客さんと触れ合う方々は心が疲れていて、辞めちゃう。社内の問題が改善されてきたから、今度はお客さんの問題に目を向けよう、というのが、昨今のカスタマーハラスメントが注目されている流れだと思います。終身雇用じゃない時代になったから、会社の資産である従業員をきちんと守ろう、という流れになってきていると」
西川「以前、イベント会社の『カスタマーハラスメントから従業員を守るための注意喚起の動画』のナレーションみたいなことを担当したんです。『チケットを忘れたから入れて』とか、『チケット1枚だけど、この子まだ小さいから入れて』とか。そういうので従業員の方、現場の方が本当に心を病んでしまうそうなんですよ」
入山「『お客様が神様です』なら従業員は……言い方が正しいかわからないけど、奴隷っていうことですよ。それがいま、従業員が大事とされてきている。『お客さんって必ずしも神様じゃないんじゃない?』ってなってきている、というのが僕の理解です」
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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