クリエイティブディレクター・鹿毛康司の心をつかむCM作りとは?
4月17日の「ノバセルpresentsマーケティング進化論」は、先週に引き続き、エステー・消臭力などのヒットCMを手掛けた株式会社かげこうじ事務所代表取締役の鹿毛康司さんをお迎えして、CM作りにおいて、どうアウトプットしてクリエイティブに表現するのか?などについて語っていただいた。
ノバセル株式会社代表取締役社長・田部正樹氏「鹿毛さんといえば、アウトプットとしてのクリエイティブを作られてきた方。どういう風にアウトプットされているのですか?」
株式会社かげこうじ事務所代表取締役・鹿毛康司氏「さらっとインサイト(=お客様の心のツボ)を見つけようと考えてなくて、解決策を考えようとした時にどうしたってインサイトを見つけていく、それが一番正しいかもしれないと思ってます。人の心の中にある本人が気付いてないものって実はいっぱいあるんです。100個も200個もあります。その中で、ここを押さえればビジネスにつながるなとか、ここはみんなが頷くよなとか、ツボみたいなものを見つけて、心の奥にあるネガティブなものをどうやって優しく包んであげて、ニコッとさせられるか、その線を狙ってます」
田部「事例として、鹿毛さんが手掛ける“ほけんの窓口”はうまくいってるなと思うのですが…」
鹿毛「“ほけんの窓口”さんは、窓口があってそこに50社くらいの会社と契約してるんです。普通、Aの会社1社なら、1社からしか売らない。そうじゃなくて50社近くのものをから、どれが一番良いのかベストなソリューションを選んでくれる。一生懸命、それを言われてたんだけど、僕が思うに、心の奥には小さな幸せが壊れる、それが恐くて保険に入らなきゃいけないっていう恐怖心みたいなものがある。だけど、保険なんかわからないし、めんどくさいし、入りたくないな~っていうぶわ~っとしたものがあって、そういう人たちに論理的にあなたのベストを言っても伝わらないだろうと思った」
文化放送・甲斐彩加アナ「それでどうされたのですか?」
鹿毛「自分で保険の窓口に何回も行ってみて、めんどくさいものを前向きにブレイクするものは何だろう?と考えた結果、“ほけんの窓口は勉強するところ、買い物ついでにおいで”そう言われたらいいんだ。そこにすっと接着剤が来るんじゃないかな?と思って作ったのがあれ」
田部「これまでは“保険のメニューが難しい、たくさんあるから私たちのベストなプランを紹介します”みたいなものが多かった。これに対して、“寄ってみたら勉強できますよ”というのは、保険のCMとしては異質。どの保険が良いですという話をしない。それがすごく面白い」
鹿毛「コロナで窓口に来る人が前年割れになってたんだけど、それをやった瞬間、その月から数か月前年比130数%に。お客様が来られるようになった。人の心って大切でしょっていう話ですよね」
甲斐「そうですよね。CMって魅力を詰め込めればいいわけじゃないんですね」
「ノバセルpresentsマーケティング進化論」は毎週月曜19時30分~20時まで文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。日本最大級の音声プラットフォーム「Voicy」でもアーカイブ配信しています。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。