昨年末の「国家安全保障戦略」改定で、憲法9条は形骸化した?大竹「本当に抑止力になるのか疑問が多い」
4月14日の大竹まことゴールデンラジオでは、「「憲法9条は死んだ」元法制局長官が語る 政府見解の詭弁と危うさ」という朝日新聞による元内閣法制局長官の阪田雅裕氏に対するインタビューを紹介し、青木、室井がコメントした。
鈴木アナによると、憲法9条は死んだと岸田内閣が国家安全保障戦略を改定した後に坂田氏が語ったことについて、インタビュアーからのそれはどういうことですか?という質問に対して「9条には第2項で定めた『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』としてきたことに圧倒的な意味があった。自衛隊があっても軍隊ではないというための柱が二つあった。まず、海外で武力行使をしない。安倍晋三内閣が推し進めた安保法制で、この柱が一つ失われた。もう一つの柱は専守防衛。これは生き残っていたがこの国家安全保障戦略の改定によって弾道ミサイルなどによって我が国が攻撃された場合ミサイル基地など相手国への攻撃を行う能力を自衛隊に持たせることが決まりました。これによってこの2つ目の柱も失われた。国民の多くは平和国家と考えていますがとインタビュアーが申しますと、「諸外国の受け止めは違うと思います。現に日本が攻撃的兵器を保有しだしたということは言っていることと、やっていることが違うと考えるでしょう」と語った。
自民党のホームページ「新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画の閣議決定にあたって岸田内閣総理大臣記者会見」によると、坂田氏が批判する国家安全保障戦略改定の理由について、新たにどのような能力が必要なのか、3つ具体例が挙がっている。
1つ目は、反撃能力の保有。2つ目は、宇宙・サイバー・電磁波等の新たな領域への対応。3つ目は、南西地域の防衛体制の強化。
こうした取組を始め、次のような改革で日本の防衛力を強化するようだ。
弾薬等の充実、十分な整備費の確保、隊員の処遇改善などを含め、今後5年間で43兆円程度の防衛力整備計画を実行。計画の着実な実行を通じて、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる。また、防衛力だけでなく、総合的な国力を活用し、我が国を全方位でシームレスに守っていく。このため、海上保安庁の能力強化、経済安全保障政策の促進など、政府横断で早急に取り組み、防衛力の抜本的強化を補完するものとして、研究開発や公共インフラ整備に取り組むなど、総合的な防衛体制を強化する。
このインタビューを受けて、青木と室井、大竹が次のようにコメントした。
青木「内閣法制局長官だった坂田さんのインタビュー記事ですね。朝日新聞のインタビューで、これやっぱり考えさせられるのは先ほど鈴木さんが読んでくださったように9条の空洞化ですね。9条が死んだとまでいうくらい、9条の空洞化を坂田さんは非常に憂いている。おそらくこれは取材をした記者も憂いているとは思うんですけれども、この取材した記者が、最後にこう書いている。「敵の国土を攻撃できる9条とは、なんと生まれた姿から離れたグロテスクな存在だろう。たとえ大きなエネルギーや時間を要するのだとしても9条をこのまま放置すべきではないと私は考える」と。書かれてる意味を忖度すれば、9条がこれだけ経済化しちゃった以上、やっぱり憲法ってのは権力の行使に歯止めをかけるものだから、もっと現実的なところできちんと歯止めをかけるような形で9条を改めるべきではないかという趣旨なのではないかと僕は読み取ったんですけれども、一方でね、内閣法制局長官の坂田さんは最後の結論でこう言ってんですね。「憲法の立法者が目指し、私たちが教わってきたあるべき姿と現状は相当かけ離れてしまいました。平和国家になろうとした意思と誓いを忘れてはいけません。元に戻れないというのではいつか来た道になってしまう。せめて安保法制前に戻すことができないか。対米的アメリカとの関係では難しいでしょうが、そうした旗を掲げて歯を食いしばって取り組むことがあっていいと信じています」と。これはやっぱり坂田さんの方はむしろやっぱりこの憲法9条という、ある種人類の理想、押し付け憲法とかいろいろ言う人たちはいるけれども、やっぱりこの9条が掲げた人類の理想みたいなものを、そもそも簡単にこのまま易々と捨てていいのか、歯を食いしばってこれにしがみついて、食らいつくべきじゃないかっていう意見ですね」
室井「おかしいでしょ。だっていくらその政権与党の人だからって言って、国民にちゃんと説明もなくどういう国であるかっていうのを変えちゃったらまずいわけでしょ」
青木「とも言えるし、安全保障法制の時に散々議論されたけれども、これは国民を縛るものではなくて、権力の行使者の側をこれだけはしないでください、あるいはこうしてくださいって縛るものだってことを考えれば、権力の行使者の側が、憲法を事実上無視したというか、骨抜きにしたということはある種憲法破壊行為でもある。しかし結果として、憲法9条が空洞化した、坂田さんに言わせれば死んだっていうような状況になっている中、我々がどう向き合うのか、坂田さんおっしゃるようにせめて安保法制前に戻せないかっていうようなことで歯を食いしばって取り組むべきなのか、あるいは、現状に合わせてきちんとした形で権力の歯止めの憲法を作り直すのか、僕はどちらかと言えば坂田さんに近い考え方です」
大竹「これからも戦わないであろうという元に敵基地攻撃能力まで範囲を広げたっていう解釈だよね。今までの解釈の幅を広げた。ただ幅を広げたことが本当に抑止力になるのか疑問が多いっていうことと、今までこの専守防衛がどれだけこの国の力になってきたか。専守防衛だからこそ余計に外交とか、経済のよその国との付き合い方とかよっぽど考えて付き合っていかなくちゃダメだってことになっちゃうよね。本当はそっちの方の外交とか、いろんな意味での力を発揮してほしいよね」
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