『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    残価設定型住宅ローンについて

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    残価設定型住宅ローンについて

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

2023年3月18日の放送では「残価設定型住宅ローン」についてのご相談メールをいただきました。

★メールまとめ
・今年12月に定年予定。
・住宅ローンが残り15年ほど、月の返済額が11万で残債1千万。退職金でどれくらい繰り上げ返済すればいいか?

★メール本文
いよいよ、残価設定ローン、デビューですね!
社会人4年目と1年目の我が家の子どもたちが、住宅ローンを組むときには勧めたいと思っています。私が購入するときに残価設定ローンがあればよかったのに…。
私は35年のローンで3500万を75歳で完済の契約で借り、現在、残債1千万円。毎月11万の返済額です。今年12月に60歳の定年を迎えます。正に大垣さんが放送でお話しされていたモデルケースの私です。現在、退職金でいくら繰り上げ返済するか思案中です。
大垣さんならどうされますか?
ちなみに65歳までは6割減で継続勤務予定です。
(ロングフッサーさん 神奈川県相模原市 59歳)

正に教科書的ケース
大垣 ホントはこういう方々に向けて、お借りになっている住宅ローンに残価のオプションだけつける、というのをやりたいと思っていて、現在検討中です。ただ、どんな家かという問題があるので、いろいろ大変な側面はあるんですが、ぜひ制度を作りたいとは思っています。
ただ、ロングフッサーさんの退職までに間に合うかどうか、わからないので、間に合わなかったときのために、ちょっとお話したいと思います。
メールでいただいた条件で計算してみたのですが、これまでもけっこう、期限前の弁済をされているんじゃないでしょうか。そういう意味では、無理せず自然体で11万ずつ返していけば、67歳、8歳ぐらいのところでローンがなくなるんじゃないでしょうか。
さて、そういうことは脇に置いて、このケースを考えようと思います。
相模原で3500万のお家っていうと、土地の値段がおそらくですが、1500万、建物が2000万くらいという条件で想定してみます。
ここで計算に使うのが路線価、これは相続するときの評価額ですけれど、だいたい8掛けぐらいになるので、1200万。その半分くらいの額、つまり600万円ほどであれば、60歳になれば「リバース・モーゲージ」が借りられます。

「リバース・モーゲージ」に借り換えるのが現時点の得策
このリバース・モーゲージは住宅ローンの借り換えに使えます。できれば、残債の1千万すべてを借りられればベストなんですが、それはちょっと、難しい。
路線価を知るには、「全国地価マップ」というサイトがありますので、参考になさってください。平米単位の値段がわかりますから、そこにご自分の土地の平米数を掛けて、それを2で割ります。すると、住宅支援機構がやっているリバース・モーゲージが、いくら借りられるかが、なんとなくわかります。
先ほど想定したケースで考えると、残債の1千万のうち400万だけ期限前弁済すれば、リバース・モーゲージで600万円を借りて、借り換えができることになります。これは亡くなられたときに返済しなければいけないんですけど、600万円程度ですから、余裕のあるときに返済していけばいい。

月々の返済額が11万→1万に激減!
そうすると、何が起きるかといえば、現在の金利だと、月々の返済額が、11万から1万円に減ります。60歳から70歳までの、ちょっとキツい時期を、今あるツールで乗り切るには、これが一番いいんじゃないかと思います。

残間
でも、1万円だけ減額されてもね…

大垣
違う、11万が1万になるの!

残間
そうなんだ。それはいいですね!

大垣
残債を全部、リバース・モーゲージで借り換えられるなら、それが一番いいんですけど。ただ、現在の仕組みだと、長く生きた後の返済になるので、土地だけの評価しかできません。でも残価設定型だと建物も評価できるので、1千万全部、借りられると思います。

残間
だからね、そういう計算ができる、大垣さんみたいな人が、一家に一人いるといいよね。

大垣
一家に一人…気持ち悪いでしょう、そんなにたくさんいたら。

鈴木
住宅金融支援機構に相談すればいいんですね。

大垣
住宅金融支援機構のサイトがありますので、そこを見てみてください。
今回は、いま定年を間近に控えて住宅ローンが残っている方がどうすればいいのかについて、考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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