自分の好み以外の文化やコンテンツとの出会い方を考える
女装パフォーマーのブルボンヌと、伝統芸能研究家の重藤暁を迎えた4月7日放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」。
特集コーナーでは「“国民的アーティスト”をクリエイティブ」というテーマでお届けした。
美空ひばり「川の流れのように」、サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」、SMAP「世界に一つだけの花」、スピッツ「チェリー」など世代を超えて愛され、誰もが歌える大ヒット曲を持つ“国民的アーティスト”が昭和や平成の時代には数多く存在する。
しかし近年、音楽を取り巻く状況の変化から、“国民的アーティスト”が生まれづらくなっている。テレビやラジオでみんなが同じ音楽に触れるのではなく、一人一人が自分の好みに合った曲を聴くことが主流の現代。“国民的アーティスト”と呼べる人がいなくなってしまうことは時代の流れとして受け入れるべきなのか。また、自分の好み以外のコンテンツと出会うにはどんな方法があるのか。
西川あやの「自分の好み以外の文化やコンテンツとの出会いっていうのは、どういう所でできるんですかね?」
重藤暁「難しいですよね。だって、それは音楽以外もそうですよね。この前、3月に相撲ありましたけど、誰が優勝したかピンとこないですもんね。そんなもんですよね」
ブルボンヌ「好きな人だけが掘り下げる時代になっちゃったから、その枠の中ではめちゃくちゃマニアックなことをハッシュタグつけた人同士が『こないだのあの時のあの表情が…』ぐらいのレベルで、細かくアーティストを深掘りしていたりするんだけど、それが好きな人の島で完全に分かれちゃってるんだよね、SNSはそれを繋げてくれるから。だから、みんなで最大公約数的に楽しむ必要がなくなってきているのかもね」
西川「それぞれの楽しいことがあるっていうね?」
ブルボンヌ「そうそう。昔は、みんながしょうがなくお茶の間のテレビで同じ情報を観ていたから共通認識が生まれて、それが語れる喜びとか、みんなでなんとなく口ずさめる喜びとかがあったけど、一人一人がスマホを持ったら『自分だけが好きなものを観てればいいや』になりつつあるから、結果、お茶の間は特に必要とされなくなり始めているっていうことだよね」
西川「お茶の間の消滅…?」
ブルボンヌ「そう。みんなで一つのものを摂取するみたいな感じは要らなくなってきちゃってるんだよね」
重藤「教育現場では、とある有名な先生の論文が10年前ぐらいまでは『テレビゲームで対戦するのは、勉強が疎かになっちゃうからやめましょう。テレビ観るのはやめましょう』って書いていたのが、最新の論文を見ると『スマホを触るのをやめましょう。その代わり、みんなでテレビゲームをしましょう』とか『みんなで同じテレビを観ましょう。そうするとそこで会話が生まれるから』みたいなことを書いていて。そうか、と。みんな個別化しちゃうと、結局はタコツボ化しちゃって自分で完結しちゃうんですよね」
ブルボンヌ「みんなでワイワイ一つのものを口ずさんだりできたことは素敵なんだけど、それもできるのに新しいメディアに飛びついているのを見ると『そんなに本当は求めてなかったのかもね』っていう形が見えつつあるのかもしれないよね」
さらに、紅白歌合戦の視聴率推移や、最近の国民的アーティストなどについても話した。
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜〜金曜の午後3時30分〜5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6kHz、radiko)で放送中。また、radikoのタイムフリー機能では1週間後まで聴取できます。
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