「ネコの話しかしない人はどうする?」一般人の“語り”を徹底的に調べた社会学者に聞くインタビューの極意

「ネコの話しかしない人はどうする?」一般人の“語り”を徹底的に調べた社会学者に聞くインタビューの極意

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10人の社会学者の論文をまとめた「生活史論集」を著した社会学者の岸政彦さんが3月27日の大竹まことゴールデンラジオに出演。一般の方の話の面白さについて、大竹も大いに共感した。

大竹「生活史論集は、10人の社会学者の方がそれぞれ生活史を書いてらっしゃるんですね。」

「僕は元々、生活史がすごい好きで、本当に人が喋ってるだけの本を2014年頃に出してるんです。もう人は喋ってるだけで面白いんですよ。」

大竹「切り取り方は各自で違いますよね。」

「1人の人生をじっくり追っかけてる人もいれば、何十人も聞いたパーツを組み合わせて詩集を作るみたいな感じで書いてる人もいて、色々なんですよね。大体、人の人生って学問の枠にピタッとはまらないんで、それぞれの持ち味でやっていくしかないんです。」

大竹「例えばですよ、沖縄で暮らしていらっしゃる方にインタビューしたら、もうずっと頭から最後まで猫のことしか喋らなかったらどうするんですか?」

「いい語りじゃないですか。さっき大竹さんと猫の話をしたんですけど、22歳7ヶ月の猫がつ先日亡くなって、そうしたら大竹さんとこも22歳なんですって。そういう話5時間ぐらいしたい。」

阿佐ヶ谷姉妹(笑)

「そんな猫の話だけしかしなかったっていうときでも、その人の人生は出てくるんですよね。どうやって拾って、どこで飼って、どういう飼い方をして、どういう付き合い方をしてきたか。例えばウチだと、新婚の時に結婚してすぐ拾ったんですよ。その後ずっと一緒だったんです。ウチは子供ができなかったんで、本当に自分の子供みたいな感じで、それがついこの間亡くなったんで、22年ぶりに夫婦二人っきりになったんですよ。なので、これからどうやって生きていこうみたいな。」(笑)

大竹「ウチもそうよ。もうすぐそうよ。」

「だから、猫の話って人生の話なんですよ。猫だけじゃなく趣味の話とか、仕事の話とか、例えば沖縄で聞くと、「ああ沖縄やな」ってすごい思うし、大阪で聞くと「大阪やな」と思いますね。」

大竹「インタビューするのは普通に生きてらっしゃる一般の方なんですね。」

「表現のチャンネルを持ってない方は、それを残さないと消えちゃうんです。」

大竹「そうなんだよ。表現のチャンネルを持ってない人ってのは、ちょっとミソで、表現のチャンネルを持ってる人は「面白いこと」を言うんですよね。変な話ですけど、「面白いこと」ってちょっと邪魔なんですよ。」

「邪魔まで言いませんけど、脱線したところが面白かったりとかするので、作ったエピソードよりは、「今まで人に話したことなかったけどね」とか、「今思い出したけど」とか、そういう話がすごい印象的だったりします。履歴書みたいな語りでも十分面白いですし、何聞いても面白いですね。誰に聞いても面白い。」

大竹「今俺たちの間で、表現するチャンネルを持ってない人との話っていうのが、なんか面白いなあと思ってるんです。」

「大学や大学院でこういうことを教えたりすると、自分のおばあちゃん、お母さんの話を聞いといたらよかったってめちゃめちゃ聞くんです。大体亡くなってるんですけど、生きてる時に戦争中のすごい面白い話を聞いたとか、「あれ、残しといたら良かったわ」って、いや、やっといてくださいよって。(笑)今ご健在の方がいたらやってくださいって言ってるんですけど、やっぱり消えちゃう語りを残したいって本当に思いますね。」

「大竹まことゴールデンラジオ」は毎週月曜~金曜、13時~15時30分まで、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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