「防災アワー」旭市の「山中食品」を訪ねて
毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっとわかりやすく生活目線でお送りしている番組です。
東日本大震災から12年が経ちました。
首都圏では最悪の津波被災地となった千葉県旭市…
最大7.6メートルの津波により、死者不明者16名という甚大な被害に見舞われました。
3月19日の「防災アワー」は、千葉県旭市の「山中食品」山中武夫社長のインタビューをお送りしました。
「山中食品」は、おせんべい・おかきを作っている米菓メーカー
看板商品の「雷鳥」や「しぐれ揚げ」は、半世紀にわたるロングセラー商品です。
その山中食品が津波で工場が全壊という被害に遭いました。
敷地内にあった山中社長のご自宅も1階まで水没し全壊。
鉄骨造りだった工場は柱だけ残っているような状態で、パートさんたちの車も逆さになったり、工場の方まで突き抜けていたり…。
山中社長によると「もう何もかもメチャクチャで、これって現実?夢を見てるのか?」という状況だったそうです。
震災前よりかさ上げされた敷地内を案内していただきました。
今も残っているブロック塀は、津波の力で陸側に斜めに傾いています。
フェンス部分にあったブロック塀は、津波で流されたそうです。
「山中食品」は震災から2年後、再建を果たします。
しかし市場から2年間商品が消えてしまった状況で、工場が新しくできて、品物もできた…でも従来のお得意先にすんなり入っていけるのか…
機械設備も全く変わり、作り方が同じでも果たして同じ商品ができるのか…
山中社長は、夜も眠れないぐらい苦しかったそうです。
ところが得意先のみなさんは「大丈夫!できたらすぐに持ってきて…自分の不注意でだめになったわけではなく自然災害だから。できるだけ応援するからがんばって!」と…。本当に待っていてくれたようで、社長自身「ありがたい!」と思うと同時にとてもびっくりされたとか…。
得意先だけでなく、各地の消費者からも励ましの手紙をもらって、今もまだ束にして大事に保管してあるそうです。
山中社長は「嬉しかったですよ…」と当時を振り返って、温かな笑顔をみせてくれました。
津波に耐えて残ったコンクリートの門柱と門が今も残されています。
こちらが当時は正門だったそうです。
木製の看板は流されていたのが発見されて届けられたもの。
震災から10年以上たって文字が消えかけたので、表面を削って書き直してもらったそうです。
尚、山中食品の「雷鳥」「しぐれ揚げ」などは、千葉県内などのスーパーや旭市の工場直売所などでも販売されています。
ネットでも購入できます。
気象予報士 防災士 気象庁担当記者 伊藤佳子