今後発生が見込まれる首都直下地震 “未治療死”を防ぐには
3月9日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、首都直下地震での未治療死について意見を交わした。
藤井氏「道路自体の強靱化が必要なんですよ」
死者・行方不明者約1万8千人を出した東日本大震災では、医療機関が大きな打撃を受け、適切な治療を受けられずに亡くなる人が相次いだ。
今後発生が見込まれる首都直下地震では約6600人の「未治療死」が発生するとの試算もある。震災から11日で12年。被災者の命を救うには災害派遣医療チーム(DMAT)の増強など巨大地震への対策強化が欠かせないという。
マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震は今後30年以内の発生確率が70%と想定されている。
寺島アナ「藤井さん、70%っていうのは高いですよね? 確率はね?」
藤井氏「もちろんそうなんですよね。南海トラフ地震のほうも同じ確率で言われてますから、少なくとも一方が起こる確率っていうのは9割以上なんですよね、30年以内で。この“30年以内”っていう数字も“70%”っていう数字も10年前に計算した結果であって、地震っていうのは神様が決めた発生Xデーっていうのは決まってますから、ある意味ね?概念上決まっていると考えることができますから、その日に向かって10年分短くなっているので、70%っていう確率はもっと高くなっているというふうに一般的に考えられています」
寺島アナ「時が経てば経つほど(確率は)高くなっていくっていうことですもんね?」
藤井氏「そうです。確率構造からしてそうだと言われていて、だから8割ぐらいあっても全然不思議じゃないような状況なんですけどね」
寺島アナ「南海トラフ地震も100年から150年周期くらいで来ていて、それも算定したところから10年経っていれば確率も高くなっている、と。首都直下地震も全く一緒ということなんですね?」
さらに、寺島アナが“未治療死”について「災害派遣医療チーム(DMAT)の増強、これは欠かせないことになるってことですね?」と問いかけると、藤井氏は自身の見解を述べた。
藤井氏「そうです。DMATを強化していこうっていうのは厚労省が中心となってやっている国土強靱化の重要な事業なんですけどね。これに加えて大きいのは、地震が起こると道路が全部潰れてしまって誰も入れなくなるんですよね。
だから、道路自体の強靱化が必要なんですよ。なので、高速道路の整備・電柱地中化・重要道路の沿線の建物の耐震補強、こういったことをちゃんとやっておかないと、いくらDMATがいても入れないんですよ、現場に。国で指定している重要輸送道路っていうのがあって、そこを強靱化する必要があるんですよね。
橋っていうのは落ちていったら物凄いダメージになりますから、重要輸送道路における橋りょうっていうのは絶対落ちないように耐震補強しておくべきですし、そもそも道路としては一番強靱な道路って高速道路ですから、高速道路がまだできていないエリアっていうのが首都圏ではまだあるので、それをいち早く作っていくのが大事ですね。そうしないと未治療の方がそのまま死んでしまうということになりますから、人間の作戦で未治療死を減らしていく必要があるんですね」
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