少年少女たちがトー横に居場所を求める理由

石戸諭「これ、ちょっとね、もう少し補足をしなきゃいけなくて、『補導だけで意味がない』っていうのは、これは全くその通りなんですよ。だって、一時的に身柄を預かられているだけなので、それは『解放されたら戻ってきたい』っていうふうになるのは、これは当たり前の話なんですよね。トー横キッズ的なものとの関係がどこまであるかっていうのは、もう少し調べなきゃいけないけども、たとえばコロナ禍で、学校っていうのが必ずしも今まで以上に行く場所ではなくなったわけじゃないですか。『リモートっていうのもやったらいいんじゃないか』っていうようなことになったけど、こういうときに『リモートやればいいんじゃないか』って言うこと自体が、僕はすごく危ない議論だと思っていたところがあるんだよね。それはなんでかというと“家が必ずしも安全じゃない子供たち”っていうのは大量にいるわけですよ。『家が居場所だったらそれでいいじゃないですか』とか『家にWi-Fiが飛んでりゃそれでいいじゃないですか』とか『家に親がiPadでもなんでも買ってくれりゃそれでいいじゃないですか』と思うんだけど、必ずしも世の中そういう家ばっかりじゃないから」

ブルボンヌ「そうだね。だから、虐待とか貧困の問題がまずあっての話なんだよね」

西川あやの「いま石戸さんからもお話ありましたけども、少年少女たちが居場所を求めてしまう理由っていうのを考えていきたいんですよね。やっぱり家庭とか学校に居場所がないと感じる？」

石戸「それはもちろん問題があるでしょう。そこが充足してれば、仮に遊びに行ったとしても戻れるじゃん？そこが大事なんですよ。べつに遊びで行くこととか本人たちが『一回ちょっと行ってみよう』とか『自分と近い感性の子たちと出会えるかもしれない』とかみたいな感じのことで思って行く分には、まぁ別にいいんじゃないですか？っていうのは僕は思っているのね。それはべつに個人の自由だから。たとえばアルコールとか薬物の依存症とかと全く同じ考え方で、そこが無いと『自分が自分でいられなくなってしまう』とか『すがる場所がそこしかなくなってきている』っていうことになってくると、やっぱり問題はより大きくなってきますよね」

ブルボンヌ「若者の意識調査だと、自分の居場所だと感じられる順番って、まずは“自分の部屋”なんだって。で、二番目が“家庭”なんだけど、その二つって“家の事情が良くないと確保できない場所”じゃない？で、三番目が“ネット”で、ネットも危うさがあるでしょ？だから、そのあとにようやく“地域”とか“学校”とか“職場”とかだから、学校って本当に低いんだよね、若者が感じている居場所としては。で、最初の条件が満たされている子はいいけど、それが無いと外に出ちゃう。たとえばEテレでは、より前向きに頑張っている場所づくりのアピールみたいなのが紹介されるけど、普通の人が接するニュースとかだと『トー横で若者が集まってます』って、逆にそれって否定的に言っているようで集めちゃっているんだよね、きっとね」

石戸「そうなんだよ、それが集めちゃってるの。だって『そこに行けば会えるんだ！』みたいな感じになってるわけじゃん？」

西川「いまブルボンヌさんが言ったように、学校って、そもそもおんなじ気持ちの人が集まっているとは限らないじゃないですか。ただ、トー横とかグリ下とかドン横とかの場合は、おんなじ気持ちになっている子たちが集まっているわけですからね」

ブルボンヌ「“寄る辺なさ”みたいなところでは共振できそうだよね」

石戸「だから、そこに行くよね。それは当たり前の話だと僕は思いますよ」

さらに、一時的な生活施設や、メンズ地下アイドルを応援する未成年などについても話した。

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