ホンダ5%賃上げ コストプッシュインフレの唯一のメリットを藤井聡氏が解説

ホンダ5%賃上げ コストプッシュインフレの唯一のメリットを藤井聡氏が解説

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2月23日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、ホンダが5%賃上げしたというニュースについて意見を交わした。

藤井氏「コストプッシュインフレを上手に活用してほしい」

トヨタ自動車とホンダは今年の春闘で、賃上げと一時金の労働組合の要求に満額回答した。ホンダの賃上げ率は5%程度で大卒初任給も1割上げるとしている。物価上昇に直面する従業員の生活を支援し、次世代の車開発を担う人材確保にもつなげる意図があるという。車大手2社が2月に交渉を決着させるのは異例で、部品会社や関連の中小企業のほか他産業に影響が波及しそうである。

トヨタの満額回答は3年連続。賃上げについて全組合員平均の要求額は非公表で、15の職種・階級ごとに細分化している。賃上げ率は明らかにしなかった。

日本を代表する2社の満額回答が2月中に出揃うのは異例。世界的なインフレを受けて、日本での賃上げ機運が高まり、自動車を含めた産業界全体・中小企業に波及するかが焦点となる。

寺島アナ「この動き、藤井さんいかがでしょうか?」

藤井氏「インフレがいま起こっているじゃないですか。インフレっていうのは色々な財やサービスの価格が上がるっていうことなんですよね。そうすると、賃金と物価って別に議論されることが多いんですけど、よくよく考えれば、賃金っていうのは労働サービスの価格ですよね。
ですから、物価が上がっていくと賃金も上がるのは当然なんですよ。で、今回ようやく物価が上がってきたことを受けて賃金が上がるっていうことになったわけですよね。デフレの日本の経済がダメである最大の問題の一個は、賃金が上がらないっていうことだったんですけど、今回のコストプッシュインフレを受けて賃金が上がってきたんですけどね、これは大変結構なことだと思います」

寺島アナ「あー、良いことなんですね」

藤井氏「コストプッシュインフレっていうのは、スタグフレーションを導くとっても悪いことなんですけども、一個だけメリットがあって、それは何かっていうと、こうやって賃金が上がっていくっていう状況ができることなんです。
物理学で知られている静的摩擦係数と動的摩擦係数ってあるんですよね。重たいものを動かそうとするときはすごく力がかかるんですけど、一旦動かすことに成功したら結構軽い力で動くんですよ。動摩擦係数と静摩擦係数っていうのは、静摩擦係数って大きいんですよ。動いていないものを動かすっていうのはすごく力がかかるんだけど、動いているものを動かすための力っていうのは、そんなに力がいらない。したがって、一旦インフレになって、一旦賃金が上がり始めれば軽い圧力で賃金は上がるんですよ。これは動摩擦係数は大きいけど静摩擦係数は小さいから。
だから、コストプッシュインフレっていうのはスタグフレーションを導くとっても悪いものではあるんだけど、そのおかげで動摩擦係数を超える賃金上げ圧力がかかったので、賃金が上がり始めたんですよ。日本がデフレによって20年間まったくダメになっているじゃないですか。このコストプッシュインフレを上手に活用して、デフレを脱却してもらいたいなと思います」

「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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