旧統一教会の「合同結婚式」が報じられて30年…放置された人々が声を上げ始めている！紀藤弁護士が空白の時間を振り返る

大竹「今、旧統一教会の問題は少しずつ下火になってきているように感じていますけど、残された問題はたくさんあります。これからメディアはどう取り上げていくのか、与党はどう対処していくのか、カルトとそうでない宗教をちゃんと線引きができるのか。宗教二世の問題は大きく残ってますね。そして法律はどこまで迫っていけるのか。紀藤さんはこの問題にも30年も取り掛かっていらっしゃいます。」

紀藤「弁護士になってからずっとですね。」

大竹「一時期は合同結婚式とか世間で話題になりましたが、その後どういうわけか、この問題は少しずつ鎮静化していって、30年が経ってしまいました。本当は、合同結婚式みたいなことがあった時点からメディアが動くとか、いろんなことをしていかなくちゃいけなかったのにそうならず、ここに来て大きな問題が噴出しました。30年関わっていらっしゃって、この辺をどう考えになってますか。」

紀藤「旧統一教会の問題というのは、政治への浸透が日本で一番最初に始まったんですね。旧統一教会が政治に関わっていく、関与していく。それを隠れて水面下でやってるわけです。だから政治家の方も分からない人たちがいるし、我々市民の方も旧統一教会と関係してる議員が分からなかった。それがずっと続いてたわけです。日本に入ってくる過程で政治家へどうやって浸透していくかが旧統一教会の課題で、実際 勝共連合というものを通じて関わっていたわけです。前回の、30年前の合同結婚式騒動の時は、芸能情報のような話になってしまって、政治家の関与とか政治への関わりとかに目が向けられなかったんです。今回は、そこに目が向けられたということが1つの大きい柱です。もう1つ、30年前はほとんど家族問題に焦点がが当たらなかったんですよ。これも実はメディアの問題があって、家族問題には互いに言い分があるわけです。お父さん、お母さんの方にも言い分があるし、子供の方にも言い分がある。夫婦だったら夫にも妻にも言い分がある。それを公正に報道するのは元々難しい領域なんです。それで旧統一教会に限らず、家族問題はあまり報じられないんですね。ですが今回、旧統一教会の問題は被害者側に焦点が当たって、実態を見る限り、結果を見る限りは問題があるということで、メディアが報じ始めたというのは、とても重要だと思います。こういう問題はメディアはどんどん取り上げてほしいですね。そうでなければ、子供の虐待の問題は、大体、親を否定するわけですから、公にならないんです。だから旧統一教会の問題に限らず、他の児童虐待にももっと目を向けてほしいと思うし、子供が死んでから報じるのは、それ自体に問題があるんじゃないかと思います。」

室井「紀藤さんの本を読んで、子供の虐待は宗教とかが絡んでるんだなと思って怖くなっちゃった。」

紀藤「虐待の現場で、子供が死亡したとか、特に餓死したような事案は、多くの場合、宗教が関わってる場合が多いんですよ。
どうしてかと言うと、子供が餓死するまで放置するわけないからです。だから「病気を治すため」とか言って病院に連れて行かないとか、あるいは宗教的な食事になってしまうとか、大人はなんとかなっても子供に同じことをしたら問題が生じるわけです。そういう児童虐待の場面で児童相談所の相談員は、ほとんど宗教に理解がないものだから普通の虐待として扱ってしまうんです。根っこの部分にある「信仰」が抜けない限りは、また同じことの繰り返しになります。」

大竹「でも元総理が…こう何て言うんですか、銃撃されなければ、この問題は瓶の蓋が開かなかったってことにもなりますよね。」

室井「いや私、こんなに根強く残ってたって知らなかったよ。」

紀藤「安倍元首相が殺害されたことに関しては、犯行自体は許されるものではないと思っています。一方、今テレビに出て発言している二世の人達は、多くの方が20代の後半ぐらいから40代なんですよね。だからまさに、この空白の30年間に放置された人たちが自分の声を上げ出したということで、それでメディアが気づいたんです。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時～3時30分、文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。