「やればいいんですけど…」 失業給付を見直す前にやるべきこととは?
2月16日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、失業給付の見直しについて意見を交わした。
藤井氏「仕事を続けたいという状況を作らないといけない」
岸田総理は、新しい資本主義実現会議で、労働移動の円滑化に向けて「自己都合で離職した場合の失業給付のあり方を見直す」と表明した。自己都合でやめる場合は、解雇といった会社都合に比べて給付を受けられる条件が厳しい中、制度の見直しで、転職などを進めやすい環境を整えるとしている。
自己都合で離職した場合、現行ではハローワークで求職を申し込んでから給付開始まで2〜3カ月かかる。会社都合の場合より時間がかかり、こうした制限措置が必要かどうかを検討するという。
求人や転職情報に関しては、ハローワークや民間人材会社で情報共有を進める方針も確認した。転職希望者へのキャリア相談に応じやすい態勢を整える狙いがあるという。岸田総理は「ハローワークでのコンサルティング機能の強化を図る」と述べた。
職務内容を明確にした「ジョブ型雇用」の日本での普及に向けては、企業の実情に合わせた導入パターンを6月に示す考えであるという。
藤井氏「こういうのは、やればいいんですけど…それ以前に『ちゃんと安定的に職場から離れないで働こう』という機運を高めないと、仕事をほったらかしておいて流動性を高めたってどうにもならないですよね。だって、みんな嫌な仕事に就きたくないんだから。それぞれが『仕事を続けたいな』っていう状況を作らないといけないですから。最近の財界の人とか政治家は『雇用の流動性を確保するのが大事なんだ』って言いますけど、それが正義のようになっている。その正義感に基づいて、これもやっているんだなぁと思うと、冒頭でも言いましたけど『やればいいんですけど…』って感じですよね」
寺島アナ「企業の立場に立ってみれば、より良い人材を得られるっていう意味では、便利っちゃ便利なんでしょうね」
藤井氏「そうですよ。これは、使い捨てにしやすいですから。資本主義っていうのは資本家主義ですから、資本家の思い通りの言説がまかり通っているんですよ。終身雇用・年功序列っていうのは労働者のことを考えたシステムで、安定的に職場で仕事ができますし、慣れる時間がいらないし、転職のために使う時間もいらないわけですし、特定のスキルっていうのを一旦覚えたらずっと使えるようになるわけですから、極めて効率的であるという側面があって、本当は見直されるべきなんですよね。それが日本型経営で、日本の成長の秘訣だったわけですけども、それを日本企業は捨てているっていうことですね」
寺島アナ「もちろん能力のある方は、どんどんスキルアップしていって、収入も増えていくっていうのは素敵なことなんでしょうけど、そうじゃないところの良さっていうのも、もう一回考えたほうがいいような気がしますね」
「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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