【西武春季キャンプレポ】平良海馬 先発へのあくなき挑戦
リリーフから先発転向を表明し、侍ジャパン入りを辞退してまで今季に賭ける埼玉西武ライオンズ・平良海馬投手が、南郷キャンプ2日目に現在の心境を語った。<2023/2/7>
平良が習得しようとしている新球は、ツーシームだ。この日はブルペンで打席に立った山川穂高相手にも投げている。
「どのくらい曲がっているのか、どのくらい落ちているか、を確認中。手元のデータとしては良い球だけど、山川さんの感覚では…打てそう…という球がいくつかあったそうで、一流の打者の感覚と照らし合わせて面白かった。最初は『当てたらどうしよう』と思ったのでどうしても外に行く球が多かったが、内角に投げた時は山川さんから『いいボールだ』と言ってもらえたので自信になった」
「ツーシームはフォーシームより3~4キロ遅い。去年は右打者のインサイドに投げる球が少なかったから外のボールに踏み込まれているように感じた。割合は少なくていい。バッターの内側に何か一つ”(球種が)ある”と思わせたくて練習を始めた」
平良の豪速球の源・クイックモーションは先発でもそのままだ。
「自分にとってシンプルに投げやすいフォーム。足を上げても、下げた時にはクイックと一緒のポジションになるから…別に上げなくても…と考えている。とにかく今までと一緒。球数(を増やす)調整だけ。(メカニックは)変えないでいきたい」
不安点はあるのか?
「強いて言うなら“実戦で先発したらどうなるのだろう?”ということくらい」
それなら、経験するごとに不安は解消するだろう。
リリーフの経験を活かして先発投手として大成功を収めているメッツ・千賀滉大とオリックス・山本由伸からも平良は話を訊いている。何でも『中継ぎのように1イニングずつ全力で行って、結果的に長いイニングを投げている感覚』なのだそうだが「そういう意識も少し頭に入れながらやりたい」とつぶやいた。丸々受け入れるのではなく「少し」。ここが平良海馬というプロ野球選手の興味深い点だ。
アドバイスを元に創意工夫を加えて根気強く生業と向き合えば、人は唯一無二の存在となれる。平良の挑戦が成功すれば、ライオンズの復権と球史に残るスターターの誕生が同時に実現するだろう。
(文化放送アナウンサー・斉藤一美)
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