バイト時給過去最高更新で発生するメリット
1月19日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、アルバイト・パートの時給が過去最高を更新したことについて意見を交わした。
藤井氏「悪性のインフレが良性のインフレに化けてくる」
リクルートが発表した、三大都市圏の去年12月のアルバイト・パート募集時の平均時給が、前年の同じ月に比べ37円高い1158円となり、2ヶ月ぶりに過去最高を更新した。
政府の観光需要喚起策「全国旅行支援」や、訪日外国人需要の増加を追い風に、採用が増えているという。
コロナ禍前の年末年始に向けた求人は11月頃をピークに、12月に向けて一服する傾向にあった。しかし、去年は経済の急回復によって充足しきれていない人手を確保する動きが続いた。
このニュースについて藤井氏は「いまインフレってスタグフレーションですから、みんな困ってるじゃないですか。
インフレになるとコストプッシュの形であれ何であれ、物の値段が上がることに対して諦め感が出てくる。さらに言うと、物の値段を上げることについて、上げる側は慣れが出てくる。今までずっと原材料が上がっても値段を上げられないということで、企業側が辛抱してコスト増を吸収してしまっていた。でも、もうアルバイト代を上げるっていうことで値段を上げてもいいか、って思うようになっちゃった」とコメント。
さらに藤井氏は物理学の摩擦係数に例えて解説した。
「物理学でいうところの摩擦係数には、動摩擦係数と静摩擦係数があるじゃないですか。大きい物を動かす時は動摩擦係数が静摩擦係数よりも小さいけど、一回動き出すとズルズルと動き出す。要するに、物を動かす時に最初が踏ん張り大事なんですよ。
インフレになって物の値段を上げ出したじゃないですか。卵だって値段が上がっているでしょ? いままでだったら乗り越えるべきは高い静摩擦係数を乗り越えないといけなかったんだけど、いまは動摩擦係数のレベルだけで乗り越えることができるので賃金が上げやすくなっている。だから、コストプッシュインフレの唯一のメリットは、摩擦係数が静から動に下がったということ。
(大きい物を動かすときの)ヨイショと持ち上げる部分ではなくスーっと動いているほうの状態になっている。これを機に賃金を上げて、いろんな物の値段を上げてください。そしたら悪性のインフレが良性のインフレに化けてきますから」
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