国内大手企業に広がる賃上げの動き 藤井氏「物価上昇率に見合うほどの賃上げにはなってこない」
1月12日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、国内大手企業に広がる大幅な賃上げについて意見を交わした。
藤井氏「この流れをさらに拡大していく必要がある」
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、今年3月から国内正社員の約8400人を対象に、年収を最大で4割引き上げる大幅な賃上げを決めた。思い切った賃上げで人材獲得競争を勝ち抜きたい狙いがあるという。
賃上げの動きは国内大手企業にも広がっており、キヤノンは今年1月、20年ぶりに賃金体系を底上げする、ベースアップを実施。従業員25000人の基本給を月額7000円アップするという。
さらに、警備大手のセコムは今年の春闘を待たずに、去年11月にベア(ベースアップ)を実施。セコム単体の組合員14000人を対象に月額2000円を引き上げた。
このニュースについて藤井氏は「賃上げの動きはあるんでしょうけど、だからといって物価上昇率に見合うほどの賃上げにはなってこないですよね。ただ、インフレはデフレよりもトータルとして良い側面を持つんですよ、実質所得を引き下げる効果がありますからね。いまはコストプッシュインフレといって、輸入品の価格が高くなったことで、いろんな物が高くなって、僕らが直接的に困ったということではありますけど、マクロ経済に対するインパクトとしては、インフレというのは良い効果を持つ側面がある。そのうちの一つが、このように賃上げにもつながっていくというところもあって、要するにいろんな物が高くなることで賃上げしないといけないという圧力をかけることにもなる。だから、この流れをさらに拡大していく必要があるんですけど、如何せんこれはコストプッシュインフレ。輸入価格の増加で増えているだけですから、簡単にはそうならない。消費税の減税をしたり、財政政策を色々やったり、ジョブ・ギャランティ・プログラムをやるなどして、政府がしっかりお金を出してあげるということをやればいいんですけど、なかなか広がっていかないでしょうね」と指摘した。
これに対し、寺島アナは「輸出企業はさておき、国内で販売している企業は物価高の影響で原材料費が高かったりして、なかなか給料を上げるまでには至らないっていうところも多いでしょうからね。となると、藤井さんがご指摘したように、いまは消費税を減税するとか、そこで補っていくというのが大事な時期ですね」とコメントした。
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