【第99回箱根駅伝】「ちぐはぐな駅伝が続いた」東洋大学・酒井俊幸監督 レース終了後コメント
第99回箱根駅伝。総合10位で、18年連続のシード権獲得となった東洋大学・酒井俊幸監督のコメント。
Q:レースを振り返って。
A:苦しい2日間だった。3年前に10位という成績で、あの時は連続3位以内という記録が11年で切れた時。区間賞を獲りながらも10位という結果に衝撃と不甲斐なさを感じた。今回は17位からスタートして一時は19位。初めて最後尾の景色を見て、二度と味わいたくないと思った。何とか18年連続のシード権は確保できたが、そこからちぐはぐな駅伝が続いてしまった。今まで指揮を執った中で、コンディションの面で一番苦労したシーズンだった。12月までは部内でもコロナの感染者がほとんど発生しなかったが、最後12月に入ってからはコロナやインフルエンザに加えて、疲労骨折も出た。10人のエントリーを無難に選んだこともあって、ちぐはぐなオーダーになってしまったかなという反省点はある。
Q:組みたかったオーダーというのは?
A:もちろん松山(和希、3年)がいるかいないかで大違いではあるが、そう言ってしまうと駒澤さんも花尾(恭輔、3年)がいない中でしっかりまとまった走りをしている。松山以外だと熊崎(貴哉、3年)や九嶋(恵舜、3年)といった選手を起用できなかったので、練習が抜けている選手でも起用せざるを得なかった。せめて3位争いくらいにはいきたかったなという思い。
Q:山の区間については?
A:前田(義弘、4年)主将が190㎝の身長の中でも非常に攻めの走りをしてくれた。彼は柏原竜二(同大OB)に憧れて東洋大学に進学してきた。その柏原が走った区間を最後走るということで本人も主将としても責任をもって挑んだ。妻には柏原から「この間の走り感動した」とLINEがあって、順位こそ届かなかったが、彼は本当にいい走りをしてくれたなと思う。同じ高校から来た木本(大地、4年)は大学入学してから8回くらい疲労骨折があったが、最後の駅伝で区間賞を獲れた。実は前田たちの学年は三大駅伝で区間賞を誰も獲っていない学年で、発表があったときは1秒差で逃したかなと思った。決して抗議をしたわけではないが、最後同タイムで区間賞という形で、苦労人の選手が最後区間賞とってくれたことが箱根駅伝らしいというか、改めて教えていただいたなという感じ。
Q:木本選手は前回の箱根で悔しい思いをしていたと思うが?
A:前回は往路で行って今回は復路。もともと復路要員の子が去年は無理に往路でいかざるを得なかったという事情もあった。今回は8区でも十分区間賞を獲るという気持ちで準備はしていた。
Q:9区の梅崎(蓮、2年)も非常に素晴らしい走りだった。
A:彼は長い距離に適性があるので、2年生で9区で良い走りをできていることは非常に明るい材料になった。
Q:目標である上位に返り咲くためにはどんなことがこれから必要になってくるか?
A:往路は中央の吉居くん(大和、3年)たちの世代が非常に良い力を持っているし、序盤はどうしても速い展開になるのはスタンダードになる。そこに乗っかっていけるような、松山を中心として一緒に競い合えるよう選手層を作っていきたいと改めて思いました。復路に関してはある程度メンバーを組めば勝負はできるかな。やはり往路だと思う。往路に関しては留学生もいない中でどう作っていくのかが課題かなと思う。
Q:駒澤・大八木監督の退任報道を受けて。
A:「いつもお前たち若い奴がいかなきゃいけないぞ」と言いながら、ずっと勝ち続けていらっしゃった。「ただ長くやっていると我慢するときはある」という話は常々していただいている。「その中でも常に世界を見据えた指導をしなければいけないぞ」と。同郷(福島県)の先輩としても温かい言葉をいただいていますので、選手も襷を受け継ぐように、指導者も襷を受け継ぐようにしてやっていきたいと思っている。
Q:後任の藤田敦史コーチは同学年(1976年生まれ)。
A:彼は高校時代からよく知っている。同じ地区・同じ学年で、本当に尊敬できる選手であったし今も良い指導者だと思う。カラーの似ているチームなので、お互い刺激し合って高めていきたい。
Q:すでに藤田コーチから連絡はきた?
A:きてないです。大八木さんに先ほど監督会議の時に言われた。(大八木監督からは)「あとは藤田と頑張れ」と。
Q:18年連続でシード権ということに関しては?
A:優勝や3位以内を狙うチームは、シード権というものを土台に置かないと、意識も年間のスケジュールも変わってくる。出雲駅伝にも出られなくなってしまうなど、チーム運営が変わってしまうのでそこは最低限かなと思う。
Q:夏に、「チャレンジできるチーム」と言っていた。今回の結果を受けて思うことは?
A:上位校との差があった。1区間、2区間にブレーキがあればあっという間に差が詰まるところだったが、今日は10時間55分台の大学が非常に多かった。青山学院さんも山の5区、6区でブレーキがあったが、本来であれば3位というのは固かったと思う。近年駅伝に向けての取り組み、ピーキングが箱根だけを見据えた戦いから、出雲と全日本も含めて三冠を狙ったものに変わっている。その間にトラックアンドフィールドもしっかり勝とうとなってくると選手層や体力、いろんなタレントが必要になってくる。そうなるとチーム運営は変わってくるかなと思うので、その大学が何を目指しているのかが鍵かなと思う。
Q:そういう意味では、監督は駅伝以外の部分も見ているのか?
A:もちろん駅伝はやっていかないといけないマストなことではあるが。駅伝をやりつつ、他のことも見せながらの方が、育てた選手たちが色んなことに気づくのかなと思う。
Q:100回大会への意気込み
A.みなさん(他の大学)も特別だと思う。まず出場できるということをアドバンテージにしながらこれからやっていく。しかしそれを緩みにせず、最低限今シーズンのチーム力よりはアップさせないといけない。他の大学も100回大会に照準を当てている。今大会は、同じ力だったら上級生より下級生を起用しているチームもあると思うのでしっかり危機感を持ってやっていきたい。
Q.新4年生(現3年生)の結果については?
A.新4年生は結果が振るわなかった。彼ら一人ひとりが自覚を持ったチーム運営をやってほしい。
関連記事
この記事の番組情報
文化放送新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継
2024年1月2日(月)・3日(火) 7時30分~14時30分
駒澤大学の2年連続学生駅伝三冠&三大駅伝史上最長6連勝か? 阻止するのは2年ぶりのタイトルを狙う青山学院大学か、史上最多97回目の出場・中央大学か、駅伝巧者・…