「陸上は楽しいものだよって伝えられるランナーに」東海大・松崎咲人(4)が箱根駅伝で見せたいもの

「陸上は楽しいものだよって伝えられるランナーに」東海大・松崎咲人(4)が箱根駅伝で見せたいもの

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高校1年生で5000m14分11秒48、高校3年の都大路では名門・佐久長聖高校でエース区間の1区を走って区間3位。2019年、鳴り物入りで東海大学の門を叩いたのが松崎咲人選手(4)だ。

初めて走った箱根は7区区間3位。当時の4年生、いわゆる「黄金世代」がいる中で唯一の1年生として出走し、復路優勝のメンバーにもなった。

順風満帆に見えた陸上人生に転機が訪れたのは2年前のことだった。

「膝を痛めてしまったんですけど。原因がよく分からなくて、痛み始めたのもある日突然で、痛みがなくなったのもある日突然で。今でも何だったのかよく分からないです」

2年生の7月に出た痛みは病院に行っても原因が特定できず、取れたのは手術も考え出した3年生の6月だった。この間、走ることができず、3軍の寮も経験した。復帰には実に1年の期間を要した。

松崎選手はその時間を「陸上競技は自分にとって何だったんだろうなと考える期間」だったと言う。

「陸上競技もいつかは引退する時が来て、仕事をしなきゃいけなくなる。陸上競技や駅伝が生活のすべてではないという中で、足を痛めてでも自分が得たい栄光や名誉は何なんだろう、と」。そう、考えていたそうだ。

この4年間、酸いも甘いも経験した。1年時は箱根準優勝を経験したが、2年後の3年時は10区逆転でシード落ちを経験した。4年間、毎年練習メニューを組む人が変わり、チームとして目指すものがばらばらになったこともあった。

それでも、箱根駅伝だけはチームで共有できる目標だった。

前回の箱根は2区区間17位と悔しい思いをした松崎咲人(4)。「シードを獲得して、(前回10区の)吉冨さんがチームに迷惑をかけたわけじゃないと伝えたい」と話す。

前回失ったシード権を取るために、強い東海大学をまた作るために、競技面だけでなく生活面も正していこうと宇留田竜希キャプテンを中心に話し合い、今季は「ワンチーム」をスローガンに掲げた。個の強さだけで戦うチームを変えようとした。

「箱根駅伝に特別な思い入れはない」と話す松崎選手だが、「将来は、楽しそうに走る人になりたいです。『陸上競技って足を痛めるものではなくて、楽しいものだよ』と小さい子供たちに教えられるようなランナーになりたい。そういう箱根にしたいです」と言う。

故障期間に考えた、陸上競技が自分にとって何たるか――。松崎選手は学生最後の舞台で私たちに、そしてチームのみんなに見せてくれるはずだ。

長距離ブロックと中距離ブロックが一つになり、「ワンチーム」で箱根駅伝シード獲得を目指す。
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