【箱根駅伝】目覚めよ明治大学 意識改革の結実まであと一歩

【箱根駅伝】目覚めよ明治大学 意識改革の結実まであと一歩

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箱根駅伝へ5年連続64回目の出場を果たす明治大学が、山本佑樹監督とエントリー選手16名が参加するオンライン取材会を12月18日に行いました。

古豪・明治大学。大昔のOBなら納得する表現かもしれませんが、今、この時代の箱根駅伝を戦っている学生やスタッフからすると、何ともホロ苦い二文字です。紫紺の襷に憧れた走力の高い選手達が入学するたびに「今年こそ明治は強いぞ!」と期待が高まります。しかし、箱根駅伝で勝つことは至難の業です。その都度、ライバル校の分厚い壁に跳ね返され続けるうちに結果も芳しくないものへと変わり、2017年は予選会敗退の憂き目に遭ってしまいました。

山本佑樹監督の就任後は今回で5年連続の本戦出場を果たし、改めてその地歩を固めつつありますが、実はこの4年間、箱根の1区は二ケタ順位にとどまってしまい、他大に対し後手に廻ってしまいました。「特にこの2年間で1~3区が上手く機能しなかった」(山本監督)ことが、高速化の一途を辿る箱根駅伝の総合順位(11位→14位)に表れているのです。

復路に限ればここ3年間で4位→7位→3位。大まかに言えば、近年の明治大学は単独走の展開でようやく持ち前の力を存分に発揮することができています。「往路であっても自分の走りに集中すべき場面で、他のチームの動きに惑わされてしまうパターンがここのところ多かった」と山本監督は反省しきり。「前に選手がいたらさっさと追いついた方がいい選手もいれば、じっくり詰めていくタイプの選手もいる。選手の個性を知るためにも、様々なバリエーションの集団走を一年間かけて行ってきた。選手の個性を把握してコーチングすることがいかに大切か、よく分かった」と回顧していました。苦過ぎる経験は、指揮官の意識を大きく変えたのです。

明大躍進のキーマンには前回7区2位の富田峻平選手(写真最前列右側)を挙げます。「本当は1区か3区を走らせたかったが力不足だった。ただ“7区をしっかり走ってから次回は往路”という心構えをもって臨んでもらった上での区間2位。ここまでプラン通りに成長してくれた。今季は気持ちで引いてしまうことがなくなり、トラックレースでも自分が前に出て引っ張るようになったし、練習でも自分からペースを動かしていけるようになった。総じて、積極的に自分から勝負を仕掛けられるようになった。エースの自覚が芽生えた。走りの成長というよりは、メンタルが成長した」と山本監督が大きな期待をかける主力メンバーの一人です。

「精神面の成長は前回の箱根がきっかけ」と富田選手も認めています。「前を追わなければいけない状況で理想的な走りを披露することができて自信がついた」上で今季は4年生としてチームを引っ張らなければいけない立場になり「この1年間は自覚をもって全てのレースに臨んでいる」そうです。「試合を経るごとに成長している実感がある」という言葉の端々に力強さが漲っていました。「ほとんど故障しない」と後輩の斉藤拓海選手も驚くほどの富田選手は「特に今季は全く故障していないので誰よりも練習を継続することができている。ポイント練習の消化率もチームで一番。集団から離れたことは1~2回だけしかなかった。自分が知り得る4年間で明治のどの選手よりも今季の自分は練習を達成できている」と元気に語ってくれました。最高学年での覚醒を目撃することは、学生スポーツ観戦の醍醐味ですね。

明治・山本佑樹監督がさらに仕掛けたチームの意識改革は、山対策、すなわち起伏への対応でした。チーム内で「岡本コース」と呼ばれる都内某所でのトレーニングは……ここから先の話は1月2・3日、文化放送の箱根駅伝全国ネット中継をお聴きいただければ幸いです!
(文化放送アナウンサー・斉藤一美)

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