残すは3位決定戦と決勝!現地カタール、そしてドイツ国内の様子~了戒美子サッカーレポート

残すは3位決定戦と決勝!現地カタール、そしてドイツ国内の様子~了戒美子サッカーレポート

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11月20日に開幕したFIFAワールドカップカタール大会もいよいよ3位決定戦と決勝と残すところ2試合となりました。

 

文化放送では大会期間中、現地カタールで取材するドイツ在住のサッカージャーナリスト了戒美子さんが随時レポート。

今回は現地カタールのスタジアム外や、了戒さんが一旦戻ったドイツの街の様子のレポートです。

 



 

 

 早いものでカタールW杯も残り2試合になりました。残りは3位決定戦と決勝ですが、この3位決定戦は主要大会では行わない傾向にあります。

 例えば、サッカーでW杯に次ぐ大きな大会である欧州選手権では7大会前の1984年大会から行われていません。アジアカップでも2019年大会から廃止になっています。ちなみにアジアカップ2023年大会はW杯と同じカタールで、6月中旬開幕予定ですが、カタールは2024年1月への変更を提案しています。6月、7月のカタールなんて、立っていられないくらい暑いはずです。

 さて日本がクロアチアに敗れた翌日、初めてファンフェスティバルというところを訪れました。

 ファンフェスティバルとはいわば大会公式のパブリックビューイング会場といったところ。スポンサーブースあり、飲食ブースあり、大きなスクリーンとその前のステージにはDJがいて場内を盛り上げています。このファンフェスタではアルコールが提供されているのですが、スポンサーであるバドワイザーのビール一択。しかも場内で飲み切らなくてはいけません。お値段は1パイント(500ccだったかも)50カタールリヤルで、実際に支払った金額を確認すると1936円でした。私的には、生きてきてもっともお高いビールだったかもしれません。とはいえ、カタールの物価は案外高く、夜ご飯などで外食をすれば、カレーのプレートなどでも2000円弱になってしまいます。日本と変わらないか、それより少し高いかといったところでしょうか。

 

 

 場内の盛り上がりは、まあまあといったところ。入場も退場もスムーズで立ったままでも座ってもスクリーンの見える場所の確保ができました。全試合がドーハおよび近郊で行われた大会で、全サポーターがアクセス可能な位置にあることを思うと少し寂しいものがあります。ファンフェスティバルに限らず、スタジアムでも空席が目立ったのは今大会の特徴でした。欧州の主要国は、カタールの人権問題などからあまり今大会への熱が入っていないと言われましたが、実際に欧州からのサポーターは少なかったように思います。オランダ、ドイツ、イングランドのサポーターは毎大会とても多いのですが今大会では驚くほど少なかったのです。ただ、原因は人権問題だけではなく、アルコールにあったのではないかと私は思っています。ファンフェスティバルでは試合を観戦しながら飲むことができますが、スタジアムではノンアルコールビールしか売られていないというのは、やはり客足を遠のかせたと思います。

 

 この日はモロッコがスペインを撃破した日でしたが、モロッコ人だけでなく多くのアフリカ人がこの勝利を喜んでいました。

 モロッコは1900年台半ばフランスの支配から独立しましたが、スペインとは海を挟んで接しており歴史的に対立し、苦しめられてきました。今でも領有権を争うエリアのあるスペインを下し他モロッコの快進撃に、アフリカ系移民たちは溜飲を下げたようです。メディアセンターで働く大勢のアフリカ系従業員が叫び踊り出すほど大喜びし「ま、全然モロッコ人じゃないんだけどね」と自ら爆笑していたのは、W杯ならではの光景でした。

 

 

 また、準々決勝はドイツに戻り観戦したのですがこちらはとても静かでした。アイリッシュパブなどもともとスポーツ観戦のできる場所ではもちろん放映していたのですが、通常であればW杯や欧州選手権などはそれ以外のカフェでも見られるようにモニターが設置されたりするもの。ですが、そのライト層も盛り上がることのできる普通のカフェでの放映がないということがこの大会への関心の薄さを感じさせました。もちろんドイツが早々に敗退しているということは大きく関係あるでしょうが、街中の装飾などもほとんどなくさみしい限りでした。

 ただ、モロッコがスペインに続いてポルトガルを撃破した時は街中大騒ぎでした。

 欧州の人たち(というのは大変雑なくくりではありますが)はカタール開催に不満があり、その不満が正しい側面はあるかとは思います。でも、決まったのならちゃんと盛り上げ楽しめば良いのにと思います。FIFAのブラッター前会長は「カタール開催は間違いだった」と発言しましたが、開催地決定の経緯は問題があったとはいえ、カタールはそれなりの準備を進めてきたはずです。例えば無料で乗ることのできる公共交通機関は欧州に比べれば格段にスムーズで、駅のお手洗いなどもドイツのものとは比べものにならないくらい衛生的で数も多く、全てにおいて快適でした。丁寧に準備されたことはいやが応にも伝わってくる大会でした。スタジアム建設などの準備段階で死者がでたことなどに対する批判も大きいのもわかります。それでも、もう少し盛り上がる大会にできたのでは。なんだかなあ、という気持ちが私には残る大会になりました。

 とはいえ、終わってしまうのは寂しいものです。4年後を楽しみにしつつ、まずは3位決定戦と決勝をただただ楽しみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

Text&Photo

了戒美子 Yoshiko Ryokai

映像制作会社勤務からサッカー取材を開始。五輪は2008年北京五輪、W杯は2010南ア大会から現地で取材。2011年からドイツに拠点を移し、ブンデスリーグ、ヨーロッパで活躍する日本人選手を精力的に取材し、雑誌、新聞、WEB、ラジオなど媒体を問わず活躍中。

 

 

 

「ニュースパレード」では大会期間中、了戒美子さんから現地レポートを交えながら大会結果をお伝えしていきます。「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

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