企業間決済のDX化には「増税的側面がある」 利便性の反面、中間搾取も…
11月10日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、企業間決済のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む動きが加速しているというニュースについて、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏が寺島尚正アナウンサーに意見を伝えた。
藤井氏「クレジットカード決済は手数料が高い」
デジタルガレージがJCBと組んで、銀行振込の請求書をクレジット払いに切り替えるサービスを11月にも開始する。クレディセゾンや三井住友カードも同様のサービスを展開。1千兆円とも言われる法人間決済のデジタル化が進むことで、中小零細企業の生産性向上に寄与する可能性がある。
また、2023年10月から始まるインボイス(適格請求書)制度がDX化を進めるきっかけになりそうだとも言われており、企業の仕入れ先がインボイスを発行できるかを確認するなどの業務が生じることから、企業間決済全体のデジタル化の需要が増える見通しだ。
このニュースについて、藤井氏は「増税的側面がありますよね。必ずしも価格転嫁が起こるというわけでもないですが、クレジットカード決済は手数料が高いです。銀行振込の振込手数料は100円でも10万円でも同じですが、クレジットカードは(支払った金額に)比例して手数料がかかるんですよね。巨大な資金のやり取りをしていると中間搾取が起きて、受け取った方が(手数料を)被るか、支払う方が被るかという話にもなります。つまり消費税と同じ機能があるんですよね。特に受け取った方は手数料でお金がなくなっていくので中間搾取されることになります。私はタクシーを利用する時に『ドライバーさん嫌だろうな』と思いながらクレジットカードを使わせてもらっています。ドライバーさんが手数料を被っているので」と指摘。
さらに、藤井氏はインボイス制度について「明確な消費増税」と表現し自身の見解を述べた。
「インボイス制度は明確な消費増税です。話すと長いので手短に話すと、インボイス制度が導入されると1千万円以上の売上高の零細業者に対する消費税分の納税義務が免除される措置が、事実上なくなります。免税事業者(消費税納税を免除されている事業者)がインボイス制度を導入せずに消費税を支払わない場合、相手業者が肩代わりしなければならなくなります。零細企業と相手業者とのどちらも消費税を支払いたくなければ価格転嫁しますから、消費者が払うことになります。(中略)DXをやったら良いと思いますけど、その分(DXで発生する手数料)を政府が肩代わりしていけば良いと思います」(藤井氏)
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