「お金持ちへの課税」のウラに、財務省の思惑が… 株式・土地への所得税率見直しを検討
11月8日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、年間所得数億円以上を対象に増税を検討しているというニュースについて、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏が、寺島尚正アナウンサーに意見を述べた。
田中氏「狙いは広範囲な増税」
財務省は所得が年間で数億円を超える人を対象に、税負担を引き上げる検討に入った。所得の多い人ほど税負担が低くなる「逆転現象」を是正する動きが出ていると見られ、所得の種類に関わらず、公平な仕組みとして所得総額に対して一定の税を求める案がある。
なお、逆転現象は所得の種類ごとに定められている税率の違いによって生じるもの。給与は高くなればなるほど税率があがる累進性で、所得税率の最高税率は45%。対して分離して課税する株式や土地・建物の売却益は、所得税率が一律15%であり、株式の売却が多いほど税負担が少なくなる仕組みだという。
超富裕層に増税を検討する動きについて、寺島アナに問いかけられた田中氏は「話だけ聞くと『不公平感を是正する』。お金持ちに課税して、社会的弱者の方たちに再分配する素晴らしい案のように聞こえます。しかし、狙いは簡単にいうと株の所得に課税していこうというものです。富裕層だけに限らず、広範囲の増税の可能性を秘めています。少なくとも、金融所得課税みたいなものを強化すると、明らかに日本の株式市場に冷水を浴びせることは間違いありません」とコメント。さらに、田中氏は増税を狙う財務省の思惑を指摘した。
「お金持ちへの課税は一部の人々には心地よく聞こえるんでしょうけれども、実態を見ると広範囲な増税を目指すための言い訳の1つとして活用しようという財務省の思惑が透けて見えるんですよね。そもそも日本には超富裕層は少ないので、そこに課税しても財務省にとって旨味はなくて、社会的な不公平感を正すという使命に財務省が燃えているようにも到底思えません。財務省の生存命題はとにかく緊縮財政ですから、超富裕層への課税というのは、結局広範囲な国民課税を目指していると思います」(田中氏)
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