「うえけん」こと漫画家・上野顕太郎がデビュー当時の衝撃作を振り返る!
10月25日の「おとなりさん」(文化放送)のゲストコーナー、「10時のおとなりさん」に、漫画家の上野顕太郎(うえの・けんたろう)さんが登場!漫画界では伝説となっている、デビュー当時の衝撃作「五万節」について詳しく語った。
坂口愛美アナ「まずは、うえけんさんこと上野顕太郎さんのプロフィールをご紹介します。1963年、東京都生まれ。1984 年に週刊少年チャンピオンに掲載された『煙草撲滅委員会』でマンガ家デビュー。さまざまな手法を駆使しギャグマンガの表現を模索しており、ファンからの支持を獲得しています」
上野顕太郎「デビュー当時の漫画に『五万節』という作品がありまして、当時読んだ人からも色々言われたし、今ほどSNSとかが無いので大分経ってから『あれは凄かった』とか言われるようになって。当時これは凄い時間かけて描いたんですけど、『効率が悪い漫画家だ、効率が悪い漫画家だ』って、この漫画以外にも手の込んだ漫画を描いているので……」
坂口「だってこれ凄いですよね、ちょっとあらすじを紹介させていただきますと、ファミリーレストラン入り口のドアを開けた客に、女性店員が『お客様、何名様でしょうか?』と尋ねるんですね。そしてページをめくると、客の『五万人だ!!』という返事と共に、五万人の群衆が見開きいっぱいに描かれているという、そんな、たった3ページのギャグ作品ということで……」
高橋優「凄いですよ、これ。効率どうこうでお話しする方もいらっしゃるかも知れないですけども、それこそ今ってtwitterとかだと、すぐスクロールしちゃうじゃないですか。だからやっぱりパッと見の強さが以前よりかは強くなっているっていうか。『ン!?なんだこれ』って言って、親指と人差し指でキュッとアップ(ピンチアウト)してみたくなる……で、この『五万人だ!!』のシーン、実際に手元に絵があるんですけど、ちゃんとアップで見ると、五万人のお客さんの1人1人がちゃんと表情が違ってたり……」
上野「ああ、ありがたい、そこを見ていただくと。僕これを描いたのが20代の中盤で、自分の肉眼ではもう見られないので(笑)。あるイベントで、お客さんを入れたトークショーがあって、これをスクリーンに大写しにしてくれたんですよ。その時に久しぶりに自分も細かいところを見たんですけど、当時80年代って、漫画のキャラクターをバックに入れるとか、通行人の中にウルトラマンがいるとか、そういう遊びみたいなものが結構あったんですけど、この作品ではやりたくないな、と思って。じゃあ何をしたかというと、よーくアップにしてみると、泥棒がいたりするんですよ」
高橋「ああ~っ!」
上野「(手元にある)この画像だと小っちゃくて多分見られないと思うんですけどね。あとね、コーラスグループがいたり、シンクロナイズドスイミングの選手がいたり」
高橋「素朴な疑問なんですけど、これを描いた時の実際の絵の大きさってどれぐらいなんですか?」
上野「B4の原稿用紙の2倍なので、これ(手元の資料)はA4だから、2回りぐらい大きいかな?」
高橋「あっ、じゃあ実際はそんなに大きな紙に描いてるわけじゃないんですね? 1人1人の表情が違ってたり、それこそコーラスグループとかのキャラクターを立たせるってなってるから、もっと……テーブルとかさ、すごいデカいのに描いて、それを縮小したものをプリントして漫画としてるのかな~って勝手に想像したんですよ」
坂口「これ、どれぐらいの日数というか時間をかけられたんですか?」
上野「半年ぐらいなんですけど。ただ、トータルで半年で、1日少しぐらいしか進められないんですよ。『キーッ!』ってなっちゃうんで(笑)。だから鉛筆で『今日はこのぐらい進めよう』って丸をして、チマチマやってって……それを毎日毎日少しずつやりながら、生活のためには別の作品も描かなきゃいけないので、短編とかをやりつつ、トータルで半年ぐらいかかったってことですね」
この後も上野さんは、漫画家を目指したきっかけや影響を受けた漫画家、さらに、他の過去作品についても話してくれた。
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