中国の経済成長に不安の影 田中秀臣氏「習近平体制の経済対策が変わらない限り、長期的な低迷も」
中国が発表した2020年7月から9月の実質GDP(実質経済成長率)は、前の年の同じ時期に比べて3.9%増となり、中国政府が5.0%と見込む潜在成長率を下回ったと報じられている。10月25日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこのニュースについて、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏が寺島尚正アナウンサーに解説する場面があった。
「香港市場の大暴落は、海外へ資金が逃げているから」
中国経済の現状をどう捉えるかという寺島アナの問いに、田中氏は「基本的に習近平体制の経済対策が大きく変わらない限り、中国経済の長期的な低迷が明らかになってくるのではないか」と考えを述べ、現状で3つの危機に直面していると指摘した。
「1つが、世界経済の停滞。さらに不動産市場も非常に低迷していて、そこにゼロコロナ対策が行われている。この3つが合わさって、中国経済全体の足を引っ張っている状況です。(これに加えて)香港株式市場での株価大暴落は、中国から海外へ資金が逃げているという側面があります」(田中氏)
特に香港市場の暴落は、中国で開かれていた共産党大会で習国家主席への権力集中が明らかになり、経済対策も当分変わらないという思惑で市場が動いたとみる。
経済低迷のおそれが高まる一方で、田中氏は共産党大会でGDPが発表されなかったことに注目。最終的には見込み通りの成長を実現していると発表するのでは、と予想した。
「予想に比べると、これでも成長率は戻ってきているんですよ。ただこれは前振りで、中国政府は5.0%を年内に達成したいとしています。そのためにはこの7~9月期でかなり戻さなければならない。(実質GDP3.9%増は)市場の見込みよりも、かなり高いんですよ。これを延長することで『10月から12月は綺麗に見込み通りの結果になりました』と数字が叩き出されると思っています」(田中氏)
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