日本は出産一時金に「1000万円」あげてもペイできる?経済学者・成田悠輔に聞く子ども支援の未来像
東京大学経済学部を卒業後、同大学院を経てマサチューセッツ工科大学で博士号を取得し、現在はアメリカの名門イェール大学で助教授を務めている経済学者の成田悠輔さんが10月17日の大竹まことゴールデンラジオに出演。自身が携わっている子ども政策について伺った。
大竹「成田さんは今、日本政府の子ども政策に関わっていらっしゃるんですよね。」
成田「自治体などと一緒に仕事をすることも多く、最近始まった「子ども家庭庁」や「デジタル庁」などが主導しているような、今世紀風の子ども政策を一緒に作っていくのを現場でお手伝いしたりしてます。」
大竹「子ども家庭庁ってうまく機能しそうですか?」
成田「まだこれから始まる段階なので、これからの頑張り次第ということなんじゃないかなと思います。でも例えば、子ども向けとか、少子化の予算を倍増するみたいな話は最近出始めています。新しい庁ができて、シンボルになるような場所があって、いろんなアジェンダが出てきているという意味で、昔に比べれば少し前進してるのかなと思います。」
大竹「庁ができたからと言って、本当に困っている子どもたちに支援を届けるのは簡単じゃないですよね。」
成田「日本の子ども向け予算は、GDP比で見るとOECD諸国中でかなり下の方なんです。だから、そもそもやばい状態からのスタートという感じなので簡単じゃないのは間違いありません。1番の問題は、少子化対策でも、あるいは子どもの対策でもいいんですが、未来の世代に向けてお金を使うということが、この国はできなくなっていると思うので、それをどう変えられるかということです。」
大竹「例えばどういうことでしょう。」
成田「例えば、少子化対策の出産一時期みたいなものを見ても、数十万円ぐらいしか出ないですよね。多分それは桁が足りてない感じだと思います。長い目で見ればお金のことだけ考えても、子どもが1人生まれれば、日本人は平均で一生の間に数億円ぐらい稼ぐわけですから、少なくとも数千万円ぐらいの税金は払ってくれるわけです。」
大竹「なるほど。」
成田「そう考えると、人が1人増えるっていう事は、国にとって数千万円ぐらいの価値があることになると思うんですよ。だから短い短期で見るとすごくお金がかかるけど、長期で見るとどんどんお金を作り出してくれるような存在だと思うんです。だけど、それに数十万円ぐらいのお金しか払えないっていうのが現状で、それを支援するために、例えば子ども予算に特化した国債の発行を許すことが考えられると思います。いわゆる子ども国債と言われてるものです。」
大竹「成田さんに言わせれば、生まれた途端に1000万円ぐらいあげても十分ペイするような感じですか?」
成田「1000万円でペイするかどうかは計算次第だと思うんですが、1000万円が絶対にありえない数字ではないと思います。」
大竹「日本は、教育費も子どもにかけるお金も本当に少ない少ないと言われてますが、もっとお金をかけて改善する必要がある。」
成田「そうですね。ただそれが難しくなってしまう理由もあると思います。結局、国として人口の多くはどんどん中高年世代になっていってるので、その人たちの声が中心になるのは避けられないですよね。 そう考えると、大竹さんとか僕たちの世代が、ちょっと痛みを背負っても、次の世代のためにお金を使おうという雰囲気を作り出せるかが問われてるのかなと思います。」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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