健康保険証をマイナカードに一本化へ 藤井聡氏は批判「諸外国はきっぱり進めていくが、日本はそれができてない」
政府は現行の健康保険証を2024年秋に原則として廃止し、マイナンバーカードと一本化した「マイナ保険証」に切り替える方向で調整に入った。10月13日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこのニュースについて、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが意見を交わした。
活用状況にも不満「給付金を効率的に配るとか、できることをやっていない」
政府はあわせて、2023年4月から医療機関や薬局に対しマイナンバーカードで保険資格を確認するシステムの導入を原則義務化する。マイナンバーカードの申請や健康保険証としての利用申し込みなどをした人に対しては、最大2万円分のポイントを支給する「マイナポイント事業」の第2弾が実施されている。
これらの施策により、マイナンバーカードの「事実上の義務化」を進め、医療のデジタル化・事務効率化の後押しを狙うが、藤井氏は推進の強制力が弱いことに懸念を示す。
「政府は“マイナンバーカードに色々なものを組み込んで効率化しますよ”ということで進めているわけですけど、カードを取得しない人に対してどう対応するのかが課題になると思います。結局こういうことが常に課題になって“マイナンバーカードってあってもなくてもええやないか”という状況がずっと続いているわけですよ。諸外国では“どっかのタイミングでマイナンバーカードになりますから”みたいにきっぱり進めていくんですけど、日本はそれができてない」(藤井氏)
さらに藤井氏は、マイナンバーカードをうまく活用できていない行政のあり方についても課題を挙げた。
「マイナンバーカードでできることをやっていないんですよね。たとえば、マイナンバーカードで給付金を効率的に配るとか。マイナンバーカードを進めようとする行政とそれ以外の行政がバラバラで、縦割り行政の状態になっているんですよ」(藤井氏)
一方、野党からはマイナンバーカードの普及や活用に反対する声もあがっている。日本共産党の志位和夫委員長はツイッターで「『任意』と言って始めたのに事実上の強制。こうしたやり方そのものが民主主義を壊す」と激しく批判している。
しかしこれまでは、このような批判に配慮してマイナポイント事業という「アメ」でゆるやかな普及を図っていたため利用者が増えず、藤井氏の言う「あってもなくてもええやないか」「できることをやっていない」という状態が続いていたのも事実だろう。
今後は、藤井氏が指摘するように、コロナ禍の行政において十分な活用ができなかったために多くの問題が発生したという反省から、義務化を前提とした「強制」で普及や活用が進められると予想される。
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