「将来に不安しかない…」悩める2代目社長のお悩みに回答『長尾一洋 ラジオde経営塾』10月3日(月)放送
約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は「将来に不安しかない…」とお嘆きの、金属メッキ化工場2代目社長からのご相談。長尾社長はどのようにアドバイスしたのでしょうか。その一部をご紹介します!
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■親族だから継いだものの、将来には不安しかなく…
ご相談者はラジオネーム『二代目メッキSoul ブラザーズ』さん。
『金属メッキ加工場の2代目社長です。親族だからと後継者になりました。
赤字経営の会社なのと、メッキ加工のニーズも下がってきているので、将来性も見えず続ける必要があるのかと思いつつです。
好きで継いだわけじゃないから、事業を発展させるだけの計画も人脈もありません。
将来に不安しかないのですが、解決策というよりもどう物事を考えていけばいいでしょうか?』
■「売れるうちに売る」or「腹を括る」
先行きの見えないご時世の中、望んで就任したわけではない経営者の立場で困惑するご相談者さん。長尾社長は冒頭からバッサり斬り込みます。
長尾社長:まずは、やる気が無いなら売ってしまえ、売れるうちに売れ!と。
赤字経営でそう高くは売れないとは思いますが、とはいえご商売をされていて、メッキ加工で発注元とのリレーションがあり、お仕事も継続的にあるのではと思います。そういうものも社員さんもひっくるめて、売れるなら売るというのがまず1つだろうと思います。
売れるなら売ってしまう。抜本的な解決ですが、そうも行かずにお悩みなのかも…。
ということで、長尾社長からは2つ目の選択肢が示されました。
長尾:…だけどご質問から言うと、親族だから渋々でも継いだとのこと。
逆に言うと継がざるを得ないプレッシャーがあって、売っぱらうわけにもいかなかったとも考えられる。
それなら腹を決めて。やるならやるで、やはりやらなきゃいけない。
ご相談を見ると、社長さん自身が揺らいでいる感じがあるので、社員さんもそれを感じて不安に思うこともあるだろうと思う。
売れないなら、できないことをああだこうだ考えていてもしょうがない。やるしかないなら「どうやってやるか」と、腹を括ってお取り組みになられる。
やるしかないならやる。売ってしまって大丈夫なら、売れるうちに売るということですね。
にっちもさっちも行かなくなったら、売りようも無くなっちゃいますので。
■やると決めたら「自社ならでは」を作って行こう
ここで松尾アナから「やる」を選ぶ場合の攻め方について質問がありました。
松尾アナ:「やるしかない!」と覚悟を決めた場合は、どのようにして行けばいいんでしょうか?
長尾社長:ご質問にもありますが、メッキのニーズも下がって来ているので、単にどこでもやっているようなメッキ加工ではいけないと思います。
特徴、自社ならではの領域というものを、自社の規模に合わせて作っていくことをお考えになるといいんじゃないでしょうか。
■”領域”を作るために役立つ『キャリアの大三角形』
自社のスケールに合った、自社ならではの領域。
それを作るためのヒントが、以前当番組の前身の番組『長尾一洋 孫子であきない話』にご出演いただいた教育改革実践家・藤原 和博さんの考え方の中にあるという長尾社長。
長尾社長:藤原さんが言っている「キャリアの大三角形」というものがあります。3つのポイントで三角形を作って行く…というもの。
ご相談者さんの場合ではメッキ加工をやっています。多分「◯◯のメッキ加工を特にやっている」というものがあると思うんです。素材とか、何かの部品のメッキ加工だったり。
ここにプラスして「◯◯の▲▲のために有効なメッキ加工」とか、もう1つポイントを作る。
藤原さん的に言うと、1個1個(のポイント)に100分の1の価値を作ると。それが3つ重なると100万人に1人の人材になれるという話なんだけど、100分の1というと上位1%になるということなので、なかなか難しいですよね。
なので10分の1。1割に残る。メッキ加工と◯◯と▲▲。10分の1をかけたら、それで1000分の1になります。そういう特徴を作って行くことをお考えになられたらいいと思います。
松尾アナ:この領域だったら負けないというものを作り、その中で10分の1の存在になっていく。それを3つ持っておく…と。
長尾社長:そうそう。だけど領域は狭くなるよね。
3つの領域が重なったところで強くなればいいだけのことなので。
「メッキの加工業として大会社になる」とか「他社に全般的に負けない」とかじゃなく、「絞られたこの領域では負けない」とか「この加工自体はウチでしかできない」ということが一部でもあることで、新規のお取引もできたりしますし、値段も強気で行ける。
そこでさらに習熟していったり、周辺の情報が集まってきて、他社との差をつけていくことができますよね。
会社の規模は分かりませんが、そういうふうに絞っていけばやって行けるんじゃないかと思うんですよね。
■商売が回っている今だからチャレンジするべし
将来への不安しかないという状況の中での新たなチャレンジ。
一見難しそうに感じられますが、いまこそ新たな挑戦に着手することが大切だと長尾社長は考えます。
長尾社長:メッキ加工なので、下請け的な仕事をしておられるかと思いますが、プラス、自社が主体的に動いていく領域を作る努力をどこかで始めなければ、いつまで経ってもできないんだよ、と。
「いまウチではそんなの無理だよ」と思うかもしれないけど、今、赤字とは言えなんとか回っているのであれば、回っているうちに新しいものにチャレンジして行く。
そういうものが無いと、ジリ貧になって、結局は借金が膨らんで「あ〜あ、売っときゃよかった」となりかねない。
■遊び心のあるご相談者さんは「小さいけれどオモロい」を目指すべし
最後には、某ダンス&ボーカルグループを思わせるラジオネームのご相談者さんに向け、長尾社長から激励を込めたアドバイスが贈られました。
長尾社長:まあ”二代目メッキ Soul ブラザーズ”というふざけたラジオネームを思い付かれるくらいの方なので(笑)。
ちょっと遊び心を持ってやられるのがいいと思います。
メッキの現場も大変だから、人の問題とか色々なお悩みも抱えておられるとは思うんですけども、どんな仕事でも遊び心はあった方がいいじゃないですか。
だから『メッキ Soul ブラザーズ』と社名変更するとかね(笑)。
そういうのをやってみて、一緒になって面白がってくれるような社員さんが集まってくる会社を作る…というのでいいと思うんです。
規模を大きくする戦いをこれからやるのはなかなか難しいと思うので、やはりユニークな会社。「小さいけどあそこオモロいぜ」と、ピリッと辛い山椒のような会社を作って行くという方向で考えれば、色々やり方はあるんじゃないかなと思いますけどね。
松尾アナ:面白さでトガって行く、自分自身も会社もレアカード化して行くということですね。
なんだか私がワクワクしてきました!
■『二代目メッキSoul ブラザーズ』さんへの回答まとめ
・やる気がないなら売れるうちに売るのも1つの選択肢。時期を逃して売れなくなることも。
・売れないなら「やるならやる」と腹を決めよう!
・やる!と決めたら、自社の規模にあった、自社ならではの領域を作るべし。
・藤原和博氏の提唱する「キャリアの大三角形」に大きなヒントが!
・赤字でも会社が回っている今だからこそ、自社主体で動かす領域づくりを。
・ユニークなラジオネームを思いつくような遊び心で、小さいけれどオモロい会社を作ってみては。
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