旧統一教会問題 政府合同電話相談窓口スタート~9月5日ニュースパレード 山本香記者取材後記
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
旧統一教会をめぐる問題に関する相談を受け付ける政府の合同電話相談が、東京都内のオフィスビルの一角で9月5日から始まった。警察庁、消費者庁、法務省など被害救済に関わる省庁の職員が東京都内の1ヵ所に集まり、相談の中身に応じてより専門性の高い相談先を紹介し、被害救済につなげる狙いがある。
法務省によると、電話はひっきりなしにかかってきており、派遣された職員らが忙しく対応していたという。ただ、相談の中身によっては電話で話す時間が長くなることもあって、一部、電話がつながりにくい状況もあった。初日にどれくらいの相談が寄せられたのかは当日に公表されなかったが、かかってきた電話は全てが相談だったわけではないようだ。記者に公開された短い時間だけでも、電話のベルが鳴り職員が対応しても、すぐに電話の受話器をおく場面もみられた。おそらく相談とはまったく関係の無い電話だったのだろう。かかってきた電話の中には、旧統一教会関係者からの抗議なども混じっていた可能性もある。
その現場を葉梨法務大臣が視察し、その様子が報道陣に公開された。
葉梨大臣は初日の状況について「電話はひっきりなしにかかってきていた」と述べた上で、「社会的に関心が高いことを現場で感じた。さらに力を入れて行きたい」と意気込みを語った。
政府は、被害者支援と救済について現行法の範囲内で対応する考えだが、宗教がからむと手を出しづらい問題もはらむ。ことは心の問題、人権、信仰の自由に関わるだけに、これまで踏み込むことが難しいと判断し、見て見ぬふりをしてきたケースもあるという。
2018年、霊感商法の被害拡大を受けて消費者契約法が改正され、契約の締結から最長5年間取り消しが可能となったが、「契約」ではなく一個人の一方的な意思による「単独行為」に当たる可能性もあり、救済対応が難しいケースもあった。そもそも、寄付、お布施、献金の定義がわかりにくいため、相談員を悩ませているのではないだろうか。
霊感商法の被害は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1987年から2021年の間に3万件超、計約1237億円に上る。消費者契約法改正により被害は減ったとはいえ、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数は2021年度だけで約1435件。平均契約金額は約112万9000円と後をたたない。
被害者救済について、消費者庁で8月29日から霊感商法など悪質商法への対策検討会の議論が始まった。東京大学名誉教授の河上正二座長は「不当性をはっきり示していくという切り分けの指標になるものを、できるだけ客観的な形での提供が求められる」と強調。今後、「不当性」とはどういう行為なのかが議論の焦点となっていくことが予想される。また寄付に関しても、上限を設けるなど法規制の是非についての検討も行われる見通しだ。
政府の救済に向けた取り組みは始まったばかりだ。電話相談などで寄せられるであろう声は、寄付や霊感商法のほか、信者の2世の人権問題なども想定される。信仰の自由と人権、心の問題にどう寄り添い、解決に結びつけていくのだろう。
被害者がいるなら加害者への対応も不可欠。寄付金をめぐっては、宗教法人への税制優遇や海外への資金流出の実態把握。また霊感商法やお布施と寄付の考え方、なによりカルト集団の定義まで踏み込めるのか、政治の本気度が問われる。
「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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