「まあ、あまり気にするな」人事担当者の深き悩みに答える!『長尾一洋 ラジオde経営塾』9月5日(月)放送
約9,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答!
今回は離職者が続いたことで自信をなくしているという人事担当者の方からのご相談です。長尾社長はどう答えたのか、その一部をご紹介します!
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ご相談を寄せてくれたのは、ラジオネームからしてお悩みが深そうな『人事担当者の悲劇』さん。
・IT/通信
・250名規模
・人事担当者
『今回長尾さんのお考えをお聞きしたいのは採用についてです。
4月から働き始めた新卒入社、中途入社の社員がそれぞれ1名ずつ辞めてしまいました。1人は仕事の内容が合わないという理由で、もう1人は職場の人間関係が良くない(上司と合わない)ということでした。
俗にいう『採用ミスマッチ』というのでしょうか。
入社前までの面談やヒアリングで能力や行動、性格資質など情報を収集して対応していたつもりですが、入社後も1ヶ月ごとに人事担当と入社後面談をしていました。
長尾先生の会社では採用ミスマッチ防止にどのように取り組まれているのでしょうか。何かヒントを得たいと思って投稿しました。人事部の採用担当として自信をなくしています。』
「あらららら。困ったことになってますね」とご質問を受け止めた長尾社長から、はじめに飛び出したのはちょっと驚きのアドバイスで……。
■まあ、あまり気にするな!
長尾社長:まあ、あまり気にするな!ということですね。自信をなくしたりしなくていいんじゃないですかね。こういう話はもう当たり前のようにありますから。
新卒と中途じゃちょっと意味合いが違うかもしれないですけどね。
■採用ミスマッチ防止のためのヒント
入社前の情報収集、入社後の定期面談と、きめ細かくケアを重ねている『人事担当者の悲劇』さんは「自信をなくす必要はない!」と言う長尾社長。
続いてご自身の会社での取り組みなどを含め、採用ミスマッチを防ぐためのヒントを話してくれました。
長尾社長:なるべく入社前にネガティブ情報をお伝えしておく、ということでしょうかね。
無理して採ってすぐ辞められるのが一番損失がデカい。それなので問題というか懸念があるようなこと、例えば…
・結構キツイよ
・しっかり勉強してもらうよ
とか、そういうことはなるべくお伝えしていくことが非常に重要な気がしますけどもね。特に中途の人はもう仕事をしているわけで、きちんと伝えて判断してもらうということですね。
やはり会社の仕事の中身をどこまでどう丁寧に伝えるかということです。
松尾アナ:夢いっぱい!じゃなくて、こんなハードな現実もあるよ、ここに難しさがあるよ、ということもちゃんと説明してあげるということですね。
■入ってから辞られめるより、内定段階で辞められる方がお互い良い
長尾社長:あとは難しいのは、新卒の場合は学生さんなので、説明しても(仕事の)イメージがつかない。最近はインターンなどで入社前に就業体験をするとか、そういうこともありますが。
ウチなんかで新卒の場合にやっているのは、採用内定してから就職するまでに間の内定者研修。新入社員への教育のような内容の”ちょっとゆるめ”みたいな教育を何度もやって行く。
そうすると当然、内定段階で辞退というか脱落して行く人もいますが、入ってから辞められるよりは内定段階で辞めていただいた方が、会社側もご本人も、お互いにとっていいんじゃないかと思うんです。
■内定者教育を重ね、少しクダけた状態で見極める
学生の皆さんも、入社前に仕事の様子を知りたいと考えている様子。
先月発表されたプレシャスパートナーズ社による学生に対するアンケートでは、内定後、入社前までの期間に「仕事を体験したい」と回答した学生は91.1%に上りました。
長尾社長:残念ながら日本の学生さんの場合は即戦力で来るわけじゃないので、インターンと言っても結局は”お客様扱い”。手間が掛かるばっかなんですよ。就業体験なんて言ったっていきなりはできないんだから(笑)。はっきり言って、そこはなかなか難しいんです。
なので、先ほど言ったように内定者教育的な感じでなるべく接触回数を増やす。(内定者も)課題をやったりする中で会社の雰囲気がよりわかるでしょうし。
やはり、内定をもらうまでは皆「どうやって内定をもらおうか、無理していい状態を見せよう」とされますので。そこが段々くだけてきた状態をお互い見ながらミスマッチを防いでいく。
『人事担当者の悲劇』さんは入社後の面談など結構ケアをされていると思うんですが、入社前にも何度かそういう機会を作っていく。
どこまでやるかは世間の協定とかもあって会社のお考えにもよるとは思うんですけども。外資系とかはとっくの昔からインターンやりまくってやっているわけなんで、遠慮ばっかしていたんじゃなかなかウマく行かないし、お互いにとっていいことにならないということではないでしょうかね。
■一喜一憂は必要なし!
最後に、番組MCを務める松尾アナから長尾社長へ、もう1つのポイントからの質問が…。
松尾アナ:退職者が出た後って、社内がちょっと動揺すると思うんですよ。「彼、辞めちゃったらいよ」とか。
長尾社長:まあねえ(笑)
松尾アナ:迎え入れる側の体制をどう整えるかという課題もあるかと思うんですが、これについてはいかがですか?
長尾社長:これも根本的に言えばミスマッチをさせない方がいいわけです。入って辞められるよりは入る前に辞退していただいた方がいいということでもありますよね。
それと、以前は新卒なんかで同期がズラズラっと連なって辞めていくようなことがありましたけれども、最近は逆に辞めていくのも別に珍しく無くなった。
同じ会社の人は、あいつも辞めた!こいつも辞めた!となれば、当然ちょっと「あれれ…」ってなるとは思うんですが、最近はどっちかといえば「あの人にはあの人の人生、あの人の考えがありますからね」みたいな。そんな感じのドライな印象もありますけれどね。
松尾アナ:ケアしなくても大丈夫なんですかね?
長尾社長:ケアするって言っても限界がありますし、社員が辞めるからってあたふたして「じゃあこうしよう、ああしよう」「給料が安いって言われたから上げますよ」みたいなのも、ちょっとポリシー、方針が定まっていない感がありますよね。
ちゃんと考えがあって給与とか待遇、そして仕事の割り振りがあるわけなんだから、ちょっと不満が出たとか、ちょっと人が辞めたとかで「どうすりゃいいの!?」って、そんなことやっている会社の方が周りから見れば「おい、大丈夫か?」みたいになるし。
それに辞めるって言ったら給料上がるとなれば、「なんだ、辞めるって脅したらウチの会社給料上がるらしいよ」って方が組織的には問題だったりしますから(笑)。
松尾アナ:そうですね、ちょっと健全ではないですね(笑)。
長尾社長:そうそう、だからあんまり一喜一憂するのではなく。
当然ミスマッチがあって早期の退職者が出たのは良いことではないので、どういう問題があるかを考えて対処して行けばいいと思います。
自信をなくしておられるということですが、採用のご担当で採用ばっかやっている人だと、ちょっと残念な結果であることは間違いないですよね。
松尾アナ:ただ、あまり自信をなくす必要はなく、そのままの誠実な方でいてほしいという。
長尾社長:そうですよ!難しいもん、だって。
うちなんかもそうだけど、面接来る人はフルフルマックス+αくらいで来るからね(笑)。
「どんだけ元気ハツラツのスゲーやつなんだ!」みたいな感じで。
それで「こりゃあいい人が来た」と採用して「はい、どうぞ!頑張ってください!」となったら、おいおい、あの勢いどうなった…みたいな人が結構いるんでね。
これは新卒中途限らずです。そんなのやられるともうなかなか難しいですよ。
なので、もうしょうがないです。ご相談者のせいじゃない!ということで考えて行けばいいと思います。
■人事担当者の悲劇さんへの回答まとめ
・こういう話は当たり前。まあ、あんまり気にするな!
・「採ってから辞められる」は損失大!内定段階で辞退の方がお互いに良いので、ネガティブ情報や仕事の中身は入社前にしっかり伝える。
・口で説明しても具体的に仕事をイメージできない新卒の場合は「内定者研修」が有効。
・入社前の接触を増やすことで、会社側は内定者の就活モードではない様子が見られ、内定者はより会社の雰囲気を知ることができる。
・社員の離職であたふたしてポリシーや方針がブレる方が組織的には問題。
・ミスマッチが起こるのはある意味もうしょうがない!
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