「統一教会の記事を取り上げたのはたった一人でした」カルト問題を追う鈴木エイトを支えたキーマンとは?
およそ20年に渡って旧統一教会の取材を続けている鈴木エイトさんが9月2日の大竹まことゴールデンラジオに出演。大竹とジャーナリストの青木理が、カルト問題を追う原点を伺った。
大竹まこと「これまで旧統一教会問題は、どんな風に取り上げていたんですか?」
鈴木エイト「僕が最初に旧統一協会と関わったのは2002年で、当時はブログなどに書くぐらいで、メディアに書くような仕事をするのはもっと後になります。実際に偽装勧誘をやっている現場に割って入ってやめさせたりとか、了解を得て偽装教化施設に入って、そうとは知らずに勉強させられている青年たちを救い出したりとか、そういう事をやっていました。」
大竹「その時代の勧誘はどういうものだったんですか?」
鈴木「基本的には街頭で「手相の勉強をしています」とか「青年の意識調査アンケートです」という形で、正体と目的を偽って声をかけて個人情報を聞き出し、「ビデオセンター」という偽装教化施設に連れていくという流れがありました。」
大竹「教団側からはどんなアクションがあったんでしょう?」
鈴木「教団関係者が近寄ってきて「俺たちは怖いぞ」とか「拉致してやろうか」とか、そういう事を言われたり、実際に殴られたことも何度かありました。尾行はしょっちゅう、毎回されていましたね。」
大竹「尾行?」
鈴木「当時、僕は恵比寿に住んでいて、いつも渋谷で調査活動をして終電が終わるぐらいに歩いて帰っていたんですけど、ずっと後をついてくるんですね。でも彼らはプロではないので、尾行の仕方が稚拙なんですよ。ちょうど交番の横を通り過ぎるぐらいのタイミングでくるっと振り返ると、向こうも止まるんです。(笑)それで首根っこ捕まえて突き出す、ということをレジャー感覚でやってました。こうして突き出すと正直に言うんですよ、「統一教会に言われて後をつけてました」って。素直なので彼らも。」
青木理「鈴木さんはフリーでジャーナリスト活動されていて、なぜカルト宗教や統一教会をウォッチしようと思われたんですか?」
鈴木「当時この団体が一番街頭で目に付いたと言うか、組織的に偽装勧誘をやっていました。勧誘員たちは悪意をもって人を騙してたわけではなくて、「素晴らしい教えがある」とマインドコントロールをされて勧誘している。このようなカルト問題の構造に気づいて、興味を抱いたんです。勧誘員たちとも交流を持つようになり、徐々に問題の本質に触れることで、さらに興味が湧いてきました。」
青木「僕も同じ仕事してるからよく分かるんですけれど、よく「空白の30年」なんて言われてマスメディアはなかなかカルトの問題、統一協会の問題をやらなかった。するとフリーで仕事をしていると、原稿の発注もなく大変だったのではないですか?」
鈴木「企画を持ち込んでもなかなか通らない事が多かったですね。ただ取材していく過程で国会議員との関係を掴んだんです。2013年の参院選で。その時に、これはちゃんと報じなければまずいと思い、人のツテを辿っていろいろ一般紙や週刊誌の方を紹介していただいた中で唯一、週刊朝日の森下さんという当時の副編集長が、持ち込んだネタをしっかり取り上げてくれました。」
青木「女性の森下香枝さんですよね。もともと週刊文春にいらっしゃった方で、イケイケと言うかかっこいい編集者ですよね。」
鈴木「当時は上に叱られながらやっていたそうです。」
青木「そういう編集者がいたから、鈴木さんのような人が統一教会の取材を続けていられた部分もあるんですね。」
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