「あと5分待って!」今年もフジロックに出た日本唯一の落語家・鈴々舎馬るこが振り返る「投げ銭ゼロ」の悲劇
くにまるジャパン時代に様々なレポートを届けてくれた鈴々舎馬るこ師匠は、実は日本で唯一人フジロックに参加している落語家なのだという。8月8日の「くにまる食堂」では、これまでのフジロックを振り返った。
野村邦丸アナ「フジロックフェスティバルにはいつから参加しているの?」
鈴々舎馬るこ「2016年からですね。フジロックフェスティバルを仕切っているSMASHという会社の代表が、イベントの20周年を記念して、なにか変わったことをやろうと、落語が流行ってるらしいから子どもたちに「寿限無」を聞かせたいと言い出して、「ギャラは出せないけど投げ銭でやってくれて、周りは音がガンガン響いて土砂降りの雨がふるけど、そんなんでもやってくれる落語家を探してこい」という指令が部下に出たんです。でもそんな奴はいないと困り果ててたところ、偶然飲み屋で話した人が落語家に近しい人で「僕、若手落語家をいっぱい知ってますからちょっと捕まえてきます」となったんですが条件を伝えるとみんなに断られたんです。その断った落語家たちに「じゃあ誰ならいいんですか?」と聞いたら一様に「馬るこなら行くんじゃないですか?」と言ったので最終的に私のところに来て「いいですよ」となったんです。」
邦丸「その時は2つ目だったよね。」
馬るこ「そうですね。記念すべきフジロック落語、第一回目は子どもたちの前でやりました。子連れのフジロッカーたちもいるため、手作りの滑り台やブランコがあって子どもたちが遊べるキッズランドというところで「寿限無」をやったんです。目当ての投げ銭を子どもからもらおうと目の前にザルをおいて「じゃあ投げ銭タイムだよ!」と言ったら、子どもですから10円玉とかしか持ってない。結局420円集まりました。(笑)でも、そのあと大人向けに3日間通して何回かやりました。それで、投げ銭ならフジロック側の負担も大したことないので毎年恒例みたいになったんです。」
邦丸「真夏の野外の高座って、どんな設えになってるの?」
馬るこ「よしず張りの屋根があって、簡素な柱が立ってまして、峠の茶屋みたいな毛氈を敷いた長椅子が何脚か並んで、そこに高座があるみたいな。だから10人ぐらい座るといっぱいになっちゃうぐらいのところなんですけど、フジロッカーはみんな折りたたみ椅子を持ってるので、その周りに座って、一番多いときは100人ぐらい聞いてくれてました。」
邦丸「すごいね。これは投げ銭も期待できる?」
馬るこ「フェスですから入場料を払ったら聞き放題で、別に投げ銭をしなくてもいいんです。だから人を逃さないために、ポストカードにサインして渡したりして、投げ銭を断りにくい状況を作っています。今年は缶バッチ作って、しかも落語がダウンロードができるQRコードをつけて「これ、どうぞどうぞ」って撒き餌をすると、釣られて寄ってくるから「投げ銭お願いします!」って。」
邦丸「銭には本当にこだわるよね。コロナ禍はフジロックがお休みで、今年復活したということ?」
馬るこ「フジロック自体は2年休んで去年復活したんですけど落語はやらなかったんです。でも落語がないのは寂しいよねっていうことで今年またお声をかけていただきました。そしたらお客様の方は今まで通り、よしず張りの雰囲気が残ってるんですが、なんと高座の上にはちゃんとテントができて雨に強くなってたんです。今まではよしずですから、台風とかもあるのに雨に無力なんですよ。それで2019年は本当に台風が直撃して、グリーンステージでX JAPANのYOSHIKIさんがピアノでエンドレスレインを弾き始めたら、本当に雨が止まなくなっちゃった。落語をやってる隣を川が流れてて、私は投げ銭目当てで来てるから最後にとっておきの落語をやって、いよいよ投げ銭タイムですっていうときにスタッフの人が走ってきて「みなさん避難してください!危ないです!すぐここから出てください!」って。「あと5分投げ銭タイムを」って言っても「ダメです!」って、投げ銭ゼロでした。」
邦丸「川に持っていかれちゃったんだな。」
「くにまる食堂」は平日朝11~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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