最も印象に残る歴史上の人物を問われたら、誰と答えますか？

筆者は学生時代、歴史があまり好きではありませんでした。それは単に暗記科目として歴史を捉えており、教科書をひたすら読んで暗記することを繰り返すつまらない勉強方法も要因だったと思います。「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、興味のない文章を読み続けても、当然全く頭に入ってきませんし、自分が楽しいと思えないことを繰り返していては、逆に嫌いになってしまいます。

そんな筆者ですが、大河ドラマ好きの父と見た1996年放送竹中直人さん主演の「秀吉」以来、豊臣秀吉という人物は強く頭に残っています。稀代の人たらしと語られている秀吉を、竹中さんがエネルギッシュに演じており、私の中で豊臣秀吉のイメージが強く作られました。その後、2014年放送の軍師官兵衛で再び竹中さんが秀吉を演じています。この時は、晩年の狂気じみた一面を怖いくらい熱演しており、秀吉最後のシーンは圧巻でした。戦国武将の中でも高い人気を誇り、これまで数多くの俳優に演じられてきた秀吉ですが、これほどまでに秀吉を演じきれる人は他にいないのではないかと思うほど強烈な印象を持っています。

2002年放送唐沢寿明さん・松嶋菜々子さん主演「利家とまつ～加賀百万石物語～」にて、香川照之さんが演じたダークな面、いやらしさがうまく表現された秀吉や、2011年上野樹里さん主演で放送された「江～姫たちの戦国～」にて、岸谷五朗さんが演じた少しお茶目な秀吉など、脚本家の視点や、演出家の考え、演じ手の話し方によって、同じ人物を描いたとは思えないほど、色々な解釈が生まれています。これが歴史の面白さであり、奥深さなのではないでしょうか。学生時代にもっと歴史の面白さに気付けていたらととても思います。

2022年度より高校教育において、新学習指導要領が実施されます。これまでにない教育大改革であり、従来の知識詰め込み型、暗記重視の教育から、主体的に学び、思考力・判断力・表現力を培うことを目指すものです。特に大きく変化するのが社会科で、「歴史総合」「地理総合」そして「公共」という科目が導入されます。受験に重要でないという理由から、多くの学校で世界史が未履修だったことが発覚した大問題を反省し、過去から学び、現代を読み解き、未来を創造していく力を培う教育が根付く事を願っています。

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」3 月22日放送分では、株式会社コテン代表取締役CEO深井龍之介さんと、株式会社フライヤー代表取締役CEO大賀康史さんにご参加いただき「今の仕事について」から「参考になる歴史上のリーダー」について熱いトークが繰り広げられました。

今の仕事について

深井　パーソナリティを務める歴史がテーマのコテンラジオでは、「第一次世界大戦」と「吉田松陰と高杉晋作」の回は反響が大きかったですね。賛否両論がある歴史事象に関しては、ノイズになってしまうので基本的にジャッジメントはしません。可能な限り客観的に伝えることを心がけています。

大賀　ビジネス書の要約サービス「フライヤー」から見えるビジネス書のトレンドは世の中の動きをよく表しています。2020年は変化の年で、3,4月は感染症の本、その後はメンタルヘルスの本、しばらくしてコミュニケーションの本が読まれるようになりました。その中でも「人は話し方が9割」という本が一番読まれた本の要約ですね。本当に時勢を反映していると日々感じます。日本中のビジネスパーソンの考えがよくわかります。2021年は未来を作る題材の本が注目されていると感じます。

参考になる歴史上のリーダー

深井　タイプの違う3~5人程のリーダーについて学ぶと、まさに未来にいきると思います。人間のリーダー像の振れ幅や多様性を感じてもらえればと思います。何パターンか見ることによって、問いが生まれます。この問いの中で僕が見つけた正解は、カエサルです。現在は、争いではなく調和の方が社会的成果を出せる時代であり、いろんな人のリソースを借用することができる力がとても必要だと感じます。

大賀　リーダーの在り方は多様であって良いと思いますが、あえて一人重要な人をあげるとすれば、リンカーンです。人材登用の力が非常に優れています。優れたところにフォーカスした組織マネジメントをしています。とても懐が深く、現実的な打ち手を打ちながら、高い理念を実現していく人です。