『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』建築条件付き土地、実際どうなの? 割高? デメリットが多い? 専門家が解説
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
建築条件付き土地、実際のところ「アリ」なの?
2022年6月11日の放送では「建築条件付き土地」について考えました。
メールをご紹介します。
●メールの要約
・建築条件付き建物について
・噂では、建物代が割高とか?
・実際のところを知りたい!
●メール本文はこちら!
近所を散歩していると、たまに「建築条件付き土地」というのを見かけます。
土地代は安めに設定されているようですが、
その分、建物が割高という噂も聞きました。
実際のところどうなんでしょう?
(買えないけど興味はあります・中野区・45歳・男性)
建築条件付き土地とは
そもそも、建築条件付き土地とは何なのでしょう。
ラジオでは、パーソナリティの残間さんが「玄関の位置や階数が指定されている住宅?」と予想されていました。
確かに、建築の条件と言われてパッと思いつくのはそちらですよね。でも、そうではありません。
建築条件付きの土地とは、
・指定の建築会社で
・一定の期間内に
住宅を建築する条件が指定された土地のことを言います。
基本的には、不動産業者の持っている土地を購入するケースを考えてください。
業者を信頼できるなら、購入してもOK
気になるのは、建築条件付き土地を購入して損をしないのか。
結論からいえば、よくある売り方ですから、業者を信頼できるなら購入しても大きな問題はありません。
実はこの売り方って、業者の目線からするといわゆる「建売住宅」に極めてよく似ているんです。
業者からすれば、
・土地を売った後に家を作るか(建築条件付き土地)、
・最初から土地と家をセットで売ってしまうか(建売住宅)
の違いでしかありませんからね。
ですから、建築条件付き土地のことを、建て売り住宅ならぬ「売り建て住宅」なんて呼ぶ人もいます。
バブル直後は割高だったことも
建築条件付き土地一番のポイントは、業者が土地を先に仕入れて、その後売却していること。
この、購入と売却の「時間差」が、割高感を生み出すことがあるのです。
というのも、土地の購入時より大幅に地価が下がってしまうことを考えてみてください。
売却時の地価に合わせて価格を下げると、高く買って安く売ることとなり、業者は大きく損をしてしまいます。
これを防ぐため、建てる家のランクを少し落とすことで業者は帳尻を合わせるのです。
特にバブル崩壊直後は、こういった売り方をせざるを得なかった業者も多いと聞きます。
その頃に家を買われた方は、建築条件で家を買うのは割高、というイメージを持たれているかもしれませんね。
「時間差」があるからこそ、お得に買えることも
ちなみに、この「時間差」によって、むしろお得に土地と建物が購入できるケースもあります。
それは、業者が、地価の安いときに土地を仕入れ、その後地価が上がった場合。
この場合、周りの業者よりも安い値段で売却しても、もともと安くで仕入れているわけですから、損が出ませんね。
というわけで、場合によってはお得になったり、割高になったりする売り方ということが、お分かりいただけるかと思います。
条件の良い土地なら、言い値でも買う人がいる
ただし、建築条件付き建物は「時間差」の要因以外にも割高で売られるケースがあります。
これは、土地は「その商品(=土地)でなければダメ」という特徴を持つ、特殊な商品であることから生まれるもの。
「駅に近い」「日当たりが良い」「角地」など、好条件を満たす土地の場合、たしょう売り値が高くても、我慢して購入する人は存在するでしょう。
であれば、建物を定価のまま、強気で販売する業者がいても不思議ではありません。
そんなケースでは「駅から20分のところに建っている家と全く同じスペックの家なのに、駅近の我が家は1000万円以上高値で購入することになった!」なんてこともあるかもしれません。
業者の指定した値段で建てなければいけませんから、感覚としては「割高」に感じられることもありますね。
お得にも割高にもなる売り方です
というわけで今回は、建築条件付き土地についてお話ししました。
建築条件付き土地は、
・基本的には、建売住宅と同じ
・土地の購入時と、売却時の地価で、どれぐらい差が出ているかが重要
・条件のいい土地の場合は、言い値で買わなければいけないことも
という条件があるのです。
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パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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