ニュースでよく見る「黒塗り文書」から真相を暴く方法とは?原発の闇に光を当てるフリージャーナリスト日野行介

ニュースでよく見る「黒塗り文書」から真相を暴く方法とは?原発の闇に光を当てるフリージャーナリスト日野行介

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毎日新聞で主に原発を中心とした取材を続け、今年の4月からフリージャーナリストになられた日野行介さんが、7月1日の「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に登場。自力で真相に迫る「調査報道」について聞いた。

大竹まこと「日野さんは、毎日新聞の記者だったそうですがどこに駐在していたんですか?」

日野行介「振り出しは滋賀県の大津支局で、そこから福井県の敦賀に行きました。ご存知のように福井には原発が15基あって「原発銀座」とか「全てのニュースは原発に通づる」などとも言われているところですので、そこで3年間どっぷり原発のニュースに浸かって、後ろめたいお金の話ばっかり追いかけていました。記者はだいたい2~3年で移動しますから、その次は大阪の社会部で大阪地検の特捜部担当になったんですが、面白いけど何か物足りないんですね。一面トップを飾るよりも、いつかは原発の取材に戻らなきゃいけないと頭の中にあって、そうこうしてるうちに2011年の福島第一原発事故が起きました。そこで異動願いを出して福島原発事故の「調査報道」をコツコツと始めるようになりました。」

大竹「日野さんの「調査報道」に対して、普通の「報道」とはどんなものなんですか?」

日野「中央官庁から地方自治体まで記者クラブがあって、担当記者がいます。彼らはだいたい役所の発表を新聞記事やニュースにするのが仕事です。いわゆる「トクダネ」と呼ばれるものも、大半は事前に役所の担当者からリークされているんです。だから、原子力規制委員会の委員長を直撃取材した時に「抜け駆けはダメだよ。会見で聞きなさい。」って怒られたんですけど、おそらく記者の仕事は、発表前に発表することを書くことだと思っているんですね。」

室井佑月「でもちょっとおかしいよね。トクダネとかスクープって言われてんのは本当はリークだから政府のCMなわけよ。その後どうなったのか後追い取材もないんだよね。」

日野「ときどき「役所は今後こうする方針です」という記事がバーンと出たりするんですが、書いた記者がその後に政策が正しかったのかどうか突っ込むことはまずないですね。」

大竹「まあ、もしかしたら独自の調査をやってらっしゃる方もいるでしょう…と柔らかい言い方にしておきましょう。日野さんのように、不都合な真実を暴こうとする方は、記者仲間からも官僚からも阻害されているんじゃないですか?」

日野「そうかもしれません。私は、特に役所の批判したいと思って調査報道してるわけではなく、意思決定過程がどうなっているのかを調べて検証するために報道しています。そのために情報公開請求すると、役所は「こいつ迷惑だな」と思っても、一応法治国家だから情報公開制度も公務文書管理制度もあるので言えないんです。そこに隙きがあるというか、自分がやらなければいけない存在意義があると思っています。」

大竹「情報開示請求をしても出てきた文章が黒塗りになっていて、何もわからない時もありますよね。そういうときはどうするんですか?」

日野「隠す決断ありきで黒塗りになっていると思ったら徹底的に戦います。まず審査請求をする。そして直接当事者に「ここ黒塗りになってるんですけど、この会議では何が話し合われたんですか?」と取材します。すると「実はこういう話だった」とか「こういうメールが来てた」とか資料を入手することもあります。このような資料を持っているか否かを言わず情報公開請求すると、相手は「資料を持っているのに不開示にしたら隠蔽だと言われる」ので正直に出さざるを得ません。このような判断を迫り、暴いていくんです。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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