深刻な自治体の土木系技術職員の不足 国交省が災害復旧ガイドラインで支援へ
土木系技術職員が不足する自治体での災害復旧事業を支援するため、国土交通省がガイドラインをまとめた。近年、豪雨災害などが増えるなか、災害復興のノウハウを持たない自治体が少なくないことに対応した。6月30日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、このニュースについて、寺島尚正アナウンサーと木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏が意見を交わした。
技術系職員「1人はいなければならない」と藤井氏
今回策定されたガイドラインは、2020年7月の九州豪雨や18年に発生した西日本豪雨のような大規模災害を想定している。集中豪雨や地震で被災した道路や橋梁などの復旧には専門知識や経験に基づく対応が求められるが、全国的に土木系職員が在籍しない町や村は多く、日頃から制度を周知し、早期の復旧につなげたいという考えだ。
ガイドライン策定の背景には、自治体の職員不足がある。総務省によると、土木系技術職員は2000年の時点で18万人を超えていたが、20年には13万人台に落ち込み、土木系技術職員がいない自治体は全国の町の36%、村の76%を占める。
自治体職員全体の数も減っており、2000年から20年にかけて14%、土木系に限ると24%の減少が確認されている。近年、国が行政のスリム化を促したことによって、各自治体が人員削減を進めてきたことが影響していると、寺島アナが紹介した。
この問題に、藤井氏は「みなさんご存知ないかもしれませんけど、自治体を運営する時に土木というのは絶対に必要なんです。各地域では道路や下水道、川などの基本的なインフラを整備しているのが自治体で、自治体が整備していかないと道路や水道が使えなくなったり、洪水が発生したりするわけです。だから、本来は技術系職員が1人はいなければならないのですが、いなくなってきているんですね。『土木の専門家は、まあいいか』と考える自治体が多く、土木系技術職員の減少率は総職員の減少割合よりも大きいということだと思います」と評した。
さらに、藤井氏は「土木がないということはその国の根底が腐るということなんです」と主張し続け、インフラ整備の重要性を提示。そんな藤井氏に対し、寺島アナも「(職員を減らした人たちは土木に関する)知識を持たないから『これいいんじゃないの』と勘違いしてしまうんですね」と付け加え、土木系技術職員の必要性を強調した。
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