早送り視聴したくなる今、したくならなかった昔。新刊が話題の稲田豊史と語り合う
6月22日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに新刊『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』が話題、ライターの稲田豊史氏が登場した。なぜコンテンツを早送りで視聴する人が増えているのか、その分析を聴かせてくれた。
稲田氏によれば早送りでの視聴は若者の間で「既に習慣として根づいてきているので不思議なことではない」という。
壇蜜「映画だけでなく録画したものも倍速で観るという人は多いです」
稲田豊史「そうですね。ドラマとかアニメとかも。大学生なんかだと講義もそうで」
大竹まこと「2倍速ぐらいであればギリギリ音声、聞き取れる?」
稲田「はい。いまは技術が発達しているので1.5や2倍ぐらいなら。3倍でも大丈夫、という人もいます」
「20代の49.1パーセントが倍速視聴経験者」というデータもあるが、稲田氏の調査ではさらに多く、「とある大学で講義を受けている子に聞いたら3人に2人ぐらいは『よくする』か『時々する』。『ちょっとでも』を含めると80%以上いた」そうだ。
大竹「グッとくる映画とかあるじゃない。そういうときは倍速にしないよ。それでも『しないといけない』という焦燥感ってどこから生まれるんですか?」
稲田「いろいろあるんですけど、1つめは定額制動画配信サービス、サブスクともいいます。安く観られる作品の本数が増えたんですよ。昔はレンタルビデオでそれなりのお金を払っていたのが、そうじゃなくなって、ほとんどタダみたいな値段で見放題。その中で全部追ったら時間が足りない」
大竹「そういえばレンタルで観ていたときは倍速なんてしなかった」
壇蜜「じっくり何回も観ちゃってた!」
大竹「そうか、たくさん観られるようになったから。人よりもたくさん知識を仕入れておきたい、というのが倍速(視聴)」
稲田「しかも安いから、適当に観ても『時間を無駄にした』と思わないんですね。(焦燥感の理由)2つめとしては、タイムパフォーマンス。コスパみたいに『タイパ』ともいいます。『時間対効果』みたいな意味で、同じ時間でほかの人よりたくさんのことができたら、得したからいいや、と。2時間の映画を2時間で観たらもったいない、倍速で2時間に2本を観れば得という」
大竹「討論でも『この人の言うことはわかっているから』みたいな調節ができる。巻き戻しもできちゃう」
稲田「集中しなくてもいいんですよ。すぐ聴き直せるから」
壇蜜「指1本で行ったり来たりできるからこんなことに……」
ほかにも皆が個性的であろうとして結果的に似てしまう若者たちの傾向や、「早送りされづらい物語」などについても話が展開。radikoのタイムフリー機能で、断片だけでなく最初から最後まで確認可能だ。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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