有能なコンサルタントを見極める方法とは?『長尾一洋 ラジオde経営塾』6月20日(月)放送
約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答!今回は会社役員の方から"コンサルタント"についてのお悩みが寄せられました。「長尾先生にたっての質問です!」と、はじまるご相談の内容は…。
■有能なコンサルタントを見極めるには?
ご相談者はラジオネーム『ハピネス』さん。
職業:会社役員
業種:建築・設計・塗装
『コンサルタントの長尾先生にたっての質問です。世の中○○コンサルタントという方が多くいらっしゃいますね。当社にもよくセミナーのDMなどが入ってきます。活用したいと思ったりしますが、上手に言いくるめられそうで怖い気がします。
有能なコンサルタントや経営アドバイザーを見極めるにはどうしたらいいのでしょう?
ほんとにできるコンサルタントである長尾さんには無粋な質問かもしれませんがよろしくお願いいたします。』
長尾社長:ちょっとコンサルタントはあやしいな…と思われているってことでしょうね(笑)。最近なんでもありですからね。補助金、協力金のコンサルタントとか。詐欺だったというのもね。詐欺事件があると、大体”自称コンサルタント”という人が出てくるからね。本当、失礼な人がいて困りますよ!
まずはコンサルタントの名をおとしめる不逞の輩に喝を入れつつ、長尾社長流のコンサルタント見極め術の解説は始まりました。
■コンサルタントとアドバイザーがごちゃごちゃに
まず長尾社長が指摘したのが、コンサルタントとアドバイザーがごちゃごちゃに認識されている風潮です。何かを教えてくれる人をなんでもコンサルタントと呼ぶ向きがありますが、それは誤り。
コンサルタントとは
→考え方や思考を売る人
アドバイザーとは
→経験や知識を得る人
例えば前述の協力金を例に取ると…
協力金の手続きをやったことがある人は、次から他の人にアドバイスしたり、代行することもできます。しかしそれは経験を売っている状態で、コンサルタントとは言いません。
■本物のコンサルティングに経験は必要無い
長尾社長:コンサルタントとは、経験や知識の無いことでも、与えられた問題を整理して解決策を考えることができる人。もしくはそれを考えるためのフレームワークやメソッドを持っている人のことを言います。
つまりその分野の経験が無い若い人でも、有能なコンサルタントになり得るということ。
しかし一般的には、大企業に長年在籍したベテランが経験をもとにアドバイスをする…というようなイメージを浮かべる方も多くいます。
しかし長尾社長のようなコンサルティングの専門家から見れば、それは経験を売っているのであって、思考を売るコンサルタントとは違っています。
■目的に応じて、見極めと選択を
もう1つ大切なのは、ご相談者が求めているのがコンサルタントとアドバイザーのどちらなのか、目的に応じて選択すること。
例えば、とりあえず目先のアドバイスが欲しい場合、同じことを過去に経験をしたことがあるアドバイザーに頼むのが手っ取り早いということになります
(時代の変化が激しい現代、20年前、30年前の経験が通用するとは限らないので、そこには注意が必要)。
しかし例のない新しいことに取り組む場合には、経験を売るアドバイザーに頼むメリットはなく、思考や考え方を扱うコンサルタントに依頼する必要があります。
誰に何を頼むのか目的に応じて考え、見極めることが大切です。
■言いくるめられそう…という懸念には
長尾社長:「絶対上手くいきます!」「必ず成功します!」みたいなことを言う奴は必ずいます。だけどその企業のことを知らないのに、必ず成功すると言う奴は偽物です。
上手に言いくるめられてしまうのでは…というご相談者の心配に、長尾社長はスポーツ選手と名コーチの関係を例に挙げながら見極め方を解説しました。
例えば、金メダリストを育てた実績のある名コーチでも、そこらへんの素人をいきなり金メダリストにすることはできません。才能のある選手、金の卵を育ててこそ名コーチが生きてきます。
その会社の実状を見てもいないのに、「誰でも成功します」と断言する自称コンサルタントは、選手に会ってもいないのに「オリンピックに出られます!」と言っているようなもの。詐欺に近いものである可能性が高いと長尾社長は考えます。
■セミナーの時は許してあげて…
ただしセミナーの際は例外だと長尾社長。
長尾社長:セミナーの段階では不特定の人に話すので、いちいち「成功する場合も失敗する場合もあって、ものによります」とか言っていたら説得力がなくなっちゃうので、「こうやったら上手くいきますよ」と説明します。それは許してあげてほしいんですけども(笑)。
ただしその後、契約に向かう段になったら話は別。自社のことをきちんと理解してもらって「これで上手くいきますか」と聞くのが大切だそう。
そこに至っても、なんでもかんでも「イケます」というやつはちょっと怪しい…。会社のことをきちんと理解した上で「お宅にはこういう問題があるので、これは上手くいかないかもしれませんよ」としっかり言える人物を選ぶ必要があります。
■クライアントとコンサルタントは二人三脚
またコンサルタントの活用について、クライアントさん側にも問題がある場合もあります。それは、人まかせの姿勢。「先生に頼んだらなんでも上手く行かせてくれるんでしょ?」という考え方では、コンサルタントも上手く行かせることが難しいと言います。依頼者側としても二人三脚で取り組む思考が大切です。
また自社との相性も重要。例えば有名スポーツ選手のコーチに、親御さんがついている場合がありますが、親御さんは選手だったわけではなくても、コーチとして上手く行っているケースが良く見られます。この場合は、親御さんだからこそ、子供の成長を見続け、成功している選手との比較を上手くでき、本人にわかりやすく伝えられる存在であることが大きいと言えます。
このような組み合わせの妙が奏功することは、クライアントとコンサルタントの関係でも見られます。自社を良く理解してくれて、相性の合うコンサルタントを選ぶのも大切なことです。
■事前にチェックできる部分は?
松尾アナ:今までのお話とてもよくわかるんですけれど、出会う前にチェックできるポイントも教えてもらえたらありがたいです!
そんな松尾アナの疑問に、やはりコンサルタントの著書やセミナーをチェックするのがわかりやすいと長尾社長は答えます。
本を読んでセミナーを聞けば、なんとなく人柄もわかり、喋り方などから自分との相性も予測できるので、そのあたりで見極めるといいとのこと。
ホームページ等はやはり良いことしか書かないので、見極めは難しい部分。
成功事例を出している場合がありますが、基本的にコンサルタントには守秘義務があるので、過去のコンサルティング事例はよっぽどのことがない限り出せるはずが無いものだと長尾社長は言います。
長尾社長:多くのクライアントさんは、事例やどこでやったことがあるのかを問おうとします。しかしコンサルティングは経験なんかなくても本当はできるもの。ただ経験がある方が手っ取り早いという場合はあり得ます。そこは上手く切り離さなければいけない部分ですね。
似非コンサルタントに騙されないようお気をつけください!
■ハピネスさんへの回答まとめ
・考え方や思考を売るコンサルタントと、経験を売るアドバイザーは分けて考えること。
・過去に同じ経験を持つ人の助言が必要なのか、新しい取り組みや課題への解決策やそれを考える思考力を持つ人が必要なのか、目的に応じて選択と見極めが必要。
・会社の状況を知りもせず「必ず成功します!」というヤツには要注意!
・クライアント側も「なんでもおまかせ」とせずに二人三脚で前進する意識を。
・契約を検討する前に、本やセミナーを通じて考え方や自社との相性をチェックしよう。
■長尾社長へのご相談を募集中!
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