各党公約発表。悲喜こもごも ~ 6月2日ニュースパレード山本香記者取材後記
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
各党公約発表。悲喜こもごも
最終盤を迎えた国会。与野党の論戦がようやくヒートアップしてきたのは、閉会が近づいてきたことと、間近に迫った参議院選挙を意識してのこともあるようだ。そんな中、各党の公約発表が相次いでいる。
6月2日は公明党と日本維新の会が参院選に向けた重点政策を、その前日には自民党がポスターをそれぞれ発表し、有権者へのアピールに余念がない。自民党は河野太郎広報本部長が1日の夕方、引き締まった表情の岸田文雄総裁。そしてキャッチフレーズは「決断と実行。」。この「決断と実行。」のキャッチフレーズに色めき立ったのが日本維新の会だ。キャッチフレーズがかぶってしまったからだ。日本維新の会は「改革。そして実行。」。ポスターはもちろん、重点政策集には透かし文字でこの文字が刷り込まれていたからさあ大変。自民党に代わる政権担当能力を参議院選挙で打ち出し、対決姿勢を強めていただけに、自民党と同じキャッチフレーズで戦うわけにはいかない。真似したわけではないが、先に発表したほうが勝ち。1日遅れたためにキャッチフレーズを変える羽目になってしまった。公約発表を2日に行うと発表していたことから、日本維新の会のスタッフは徹夜作業で作り直したという。出来上がっていたポスターももちろん、キンコーズに再度発注。届いたのは発表の直前。ギリギリ間に合ったというわけだ。
新しいキャッチフレーズは「改革。そして成長。」。公約では「6つの改革」を掲げ「教育の完全無償化や出産の実質無償化」また安全保障については「核共有を含む拡大抑止に関する議論を開始する」とし、防衛費のGDP比2パーセントを目安に増額を目指すとした。このほか新型コロナウイルスについては、感染症法上の扱いを現状の2類相当以上から季節性インフルエンザと同様、5類感染症への引き下げ、さらに「安全性が確認できた原発については、可能な限り速やかに再稼働する」ことなどを掲げた。
日本維新の会がこれまで一丁目一番地としていた「身を切る改革」は、「国会議員の定数と報酬を3割削減」と、たくさんある政策集の中には書かれてい入るものの、重点政策として打ち出した「6つの改革」には入っておらず、維新らしさが少し後退したのかという印象もある。これについて馬場共同代表は、維新が大阪で実現してきたことを国政でも実現すると胸をはった。
一方、同じ2日に公約発表をしたのが公明党。山口代表が自ら会見を開き説明した。キャッチフレーズは「日本を前へ。」。公明党は、選挙での重点政策について、前回の衆議院選挙から外交、社会保障、経済政策など項目ごとに3回に分けて発表するスタイルをとっている。今回も同様のスタイルで発表していくという。まず第一弾として発表したのが経済政策。「経済の成長と雇用・所得の拡大」を軸にして「人への投資を抜本的に強化し、持続的な賃金上昇を実現する」と打ち出した。新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻の影響で傷んだ経済にふれ、「社会経済の立て直しが第1位になるべきだ」と強調。さらに物価高騰などで国民に先行き不安が高まっているとして「持続的な賃金上昇をベースとした経済の成長と好循環を図り、雇用・所得の拡大につなげていくことが何よりも重要だ」と強調した。
実は公明党は、5月31日に発表する予定だったのだが、山口代表の体調不良のため2日後に延期された。政治家の体調不良、しかも公党の代表となるとすぐにいろんな噂が飛び交うのが永田町。公明党は体調不良ではなく、山口代表の眼の充血がひどく、テレビやスチールの撮影で充血した目は印象が悪いのではということで延期したと話している。しかし邪推するのが永田町の悪いくせ。少し前に自民党の菅前総理の体調不良が伝えられた際には、菅派の立ち上げ断念という話が直ちに駆け巡った。菅前総理の周辺は大したことが無いと火消しに走ったが、未だに健康不安説は拭い去れていない。
選挙を前に、練りに練った公約で有権者にアピールしたい各政党。その中身以外の所で注目を持たれ、痛い腹も探られる。それも永田町の常識なのかもしれない。
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