永田町の非常識 新幹線ただ乗りで見えた国会議員の特権意識~ 5月14日ニュースパレード山本香記者取材後記

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文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 

永田町の非常識 新幹線ただ乗りで見えた国会議員の特権意識

新幹線にただ乗りしていたことがばれて逮捕された元参議院議員の山下八州夫容疑者は、警察の調べに対し「国会議員時代を忘れられなかった」と供述しているという。何を忘れられなかったのか・・・国会議員に与えられた特権、便宜供与による優越感なのかもしれない。山下容疑者は、国会議員時代に支給された「国会議員用鉄道乗車証」(以下 パス)を悪用していたわけだが、このパスの有効期限は1年で、国会議員の身分を失うと国会に返却しなければならない。2010年の参議院選挙で落選した際に、このパスを返却せず、以来、ずっとパスの不正利用をしていたのではという疑惑もある。

このパスは、提示するだけで全国のJRで利用できるものである。大きさは名刺サイズで、名前や期限が記載されているものの、顔写真はなく、ぱっと見せるだけなら期限切れでも気付かれなかったのだろう。

パスの不正利用は、山下容疑者だけではない。元立憲民主党衆議院議員の山尾志桜里氏が、エステ通いの際に、パスを使っていたことが発覚したことは記憶に新しいだろう。
このパスはJR側が負担しているのではなく、衆参両院がそれぞれ毎年予算をつけて払っている。
ちなみに今年度の予算は衆議院が3億3924
1000円。参議院は1億8271万円で、議員一人当たりにすると、約73万円になる。年間の交通費として国民の税金から払っているのである。不正利用は許されない。

山下容疑者の事件をきっかけに、国会ではパスについて電子カード化すればいいのでは?という声も上がっているが、地方の無人駅を利用する議員はどうすればいいのだろう。そもそも国会議員710人のために電子パスをつくるための予算はいったいいくらかかるのだろう。性善説でいえば全く必要のない予算だといえよう。

問題は他にもある。国会が議員の利用実態をまったく把握していなかったことだ。民間なら東京メトロの1区間167円だが、きちんと手続きしなければ交通費として認めてもらえない。国会議員も交通費の明細をきちんと国会に提出し、衆参両院も無駄遣いや不正が無いか厳しくチェックするべきではないのか。後で請求する形に改めれば不正利用は防ぎ、ムダな支出も抑えられるはずである。
さらに問題なのは、このパスを提示し、別の書類で申し込みをすればグリーン車にも乗り放題だということである。国会議員はなぜ、グリーン車に乗らなければならないのか。普通車ではだめなのか。血税を無駄遣いしないという意識があれば、グリーン車ではなく普通車に乗ってもらいたいものである。身を切る改革が党是の日本維新の会はこの問題、どこまで切り込むのかも見ものである。与野党の議員からグリーン車は必要だという声も漏れている。

以前は、私鉄とバスのパスもあったが、2021年に民主党政権時代に公明党の強い要請を受けて廃止された経緯がある。文書通信交通滞在費(法改正で名称変更)と二重取りのような状態にあり、このパスについても廃止の声が国会議員から上がることを期待する。

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