永田町の非常識 異常な金銭感覚~ 5月13日ニュースパレード山本香記者取材後記
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
永田町の非常識 異常な金銭感覚
細田議長の「月100万円しか・・・」発言が物議を呼んでいる。夏の参議院選挙に影響が出かねないと自民党内からも批判の声も相次ぎ、慌てて謝罪する事態となったが国民には、国会議員のおかしな金銭感覚について改めて印象付けた形だ。国会議員の金銭感覚で思い出すのが自民党の麻生副総裁がかつて、総理大臣だったときに野党からカップラーメンの値段を尋ねられ「400円くらい」と答弁したことがある。元々お金持ちの麻生副総裁は買ったことも見たことも、もちろん食べたことも無いからわからないのだろうという声が当時、上がっていた。
お金持ちの麻生副総裁だけじゃない。国会議員になるまでは、普通の生活感覚を持っていた人でも、国会議員になると、老舗料亭や高級フレンチレストランで開かれる会合に度々出席し、民間では考えられないような国会議員特有の様々な特権や便宜を受けているうちに、金銭感覚もおかしくなってくるのかもしれない。
わずか1日で月100万円支払われていた文書通信交通滞在費。(日割り支給に法改正され「調査研究広報滞在費」と名称も改められた)その他に月約60万円の立法事務費、政党交付金、それに歳費や期末手当など合わせると年収は2000万円ほどになる。さらに議員宿舎は都心の一等地で格安で借りることができるほか、国会議事堂の裏にある議員会館では、それぞれに事務所が与えられている。民間では考えられないほどの厚遇振りである。
いつから国会議員への便宜が始まったのか・・・
戦後間もない頃の国会議員は、元貴族や財閥など、特権階級に属する人が多かった。そのせいか、地方選出の国会議員は、東京に借りた家やホテルから国会まで自前の馬車で登院していたという。しかし一般家庭で育ちお金もない国会議員の場合は、安い下宿を探し、乗り合い馬車や徒歩で国会まで通っていたという。国会内にある食堂の値段も高いため、お弁当持ちで通ったそうだ。もちろん、文通費のような都合の良い制度もなかった。
度々起きる政治とカネ問題を透明化するため、文通費や政党交付金などのお金が支給される様になったのだが、当初の目的とはうらはら。透明化とは言いがたく、議員にとって都合の良いお金という状況となっているのが現実である。
国会議員に対する宿舎や事務所など様々な便宜のルールを決めているのは、そもそも国会議員である。都合の悪いルールを決めるはずも無い。
現在、文書通信交通滞在費については、日割り計算での支給までは決まったが、肝心の使途公開や、国庫返納についての議論は遅々として進まない。今国会中の結論は絶望的である。
国会議員への便宜は全て国民の税金でまかなわれているるが、現在、国の借金は国民1人当たり1000万円を超えている。国民の税金を1円でも節約しようという意識があれば、余ったお金は国庫に返納する。使途公開も同様。民間ではしごく当たり前のことなのになぜ、決められないのだろうか。
月に100万円のお小遣い、未練いっぱいのようだ。