各国首脳のおもてなし ～ 5月23日ニュースパレード山本香記者取材後記

各国首脳のおもてなし

日米首脳会談、クアッド首脳会談など、5月後半は外交案件が目白押しである。来日した首脳らとの会談で、少しでも成果を得るためにも「おもてなし」は重要な課題となる。機嫌をそこねたらそれこそ、今後の外交に関わるからだ。

「おもてなし」で最も頭を悩ませるのが食事会のメニュー。好き嫌いや、国によって宗教上の理由で食べられないものは無いのかの事前の情報収集も重用課題となる。

今回、アメリカのバイデン大統領との夕食会は、日本庭園が有名な東京・目黒区にある八芳園で開催された。メニューは、信州サーモンのムニエルや東京シャモの鉄板焼き。アイスクリームが好物のバイデン大統領のためにジェラートも数種類用意された。このジェラートは被災地、宮城県名取市から取り寄せ、被災地のアピールも忘れない。

ちなみに、首脳会談の場で用意される水も被災地　福島県奥会津のものだ。総理大臣官邸で開かれたクアッド首脳会合では、天然炭酸の水。また、迎賓館での首脳会談では同じく奥会津の天然水が用意されていた。これらの水は、2019年に大阪で開催されたＧ20でも出されていた。

今回、岸田総理は、被災地だけでなく出身地広島の食材を使い、来年に日本が開催国となるＧ7サミットの会場　広島をアピールした。バイデン大統領とのワーキングランチのメニューは、広島の牛や野菜を用いたメニューでもてなした。

食事を取りながらの会談は、ざっくばらんに話ができ、相手の本音も見えやすくなるため、メニューや会場選びは国益にも関わる重要な案件ともなっている。

 

ちなみに夕食会ではバイデン大統領に岸田総理の夫人がお茶をたててもてなすという場面もあった。

日本文化に触れてもらい、より日本に親しみを持ってもらうという意図もある。日本文化といえるかどうかわからないが、首脳が来日した際、迎賓館でよく行われる行事に「鯉の餌やり」というのがある。

インドのモディ首相との会談後の夕食会の前に、この行事が行われたのだが、鯉に餌をやる抱けなのに、おもしろいのだろうかと言う声が上がっていたが、モディ首相、手すりに片足をかけて身を乗り出し、ことのほか楽しんでいた。池の真向かいから手を振ると、ご機嫌よく大きく手を振り返してくれたのが印象的だった。

今回のクアッド４首脳の内、バイデン大統領に次いで日本政府が注目してたのがモディ首相。いわば影の主役でもある。軍事･経済で台頭する中国包囲網を敷くため、そして50年以上にわたりロシアと友好関係にあるインドを巻き込むことが今回の最重要課題だったからだ。

相手の心をどこまでつかめるのか、「おもてなし」は外交成果に直結する重要なイベントであるといえよう。

 

 

「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ！クリエイティ部」内、平日午後5時～5時15分、文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。