国内企業物価指数が10%上昇 価格転嫁できるか否かで分かれる企業の明暗…
日銀が発表した2022年4月の企業物価指数速報で、国内企業物価が前年同月と比べて10%上昇していることが判明した。5月17日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)ではこの事実について、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏が寺島尚正アナウンサーから意見を求められる場面があった。
コロナの影響、円安、ウクライナ情勢全てが絡み合う状況に
田中氏は「企業物価の中身を見てみると、輸入物価の段階で、対前年比で約44.6%上昇しているんですよね。全面高で上げ幅が大きいですから、これがいきなり縮小することは考えられず、長期間この状態が続くのは確実ですね」と分析。企業物価指数が二桁の伸びになったのは1980年12月以来、およそ41年ぶりになる。
寺島アナは、値上げに踏み切る企業と価格に転嫁できない企業の差が目立ち始めたことに言及した。田中氏はこれを踏まえ、価格転嫁できない中小企業などではその負担が働く人にかかる可能性を懸念する。
「価格転嫁ができなければコストが上昇しますから、その分を調整するとなると働く人の雇用状況ですよね。そこに負担がいってしまうと。最悪はリストラされてしまうとか、あるいは作業時間の減少で給料が減って所得が減少したり、ボーナスがカットされたりといった、様々な雇用面の負担が増えてくると思います」(田中氏)
また、企業物価指数の上昇にウクライナ情勢や円安も影響しているのかという寺島アナの質問に対しても、田中氏はそれを肯定すると同時にコロナ禍の反動もあることを指摘した。
「世界経済がコロナ禍後の活動を再開する一方で、資材や原料の生産は元のように戻っていません。コロナ禍の反動による需要増加に応えられるだけの生産がうまく回っていかない。例えば、中国は世界の工場的な側面を持っていますが、ゼロコロナ対策で生産が滞るような状況が続いています。それを考えると一気に解消するのは難しく、むしろ中国やウクライナ情勢を考えると、こういった原材料高が長期化するのは避けられないと思います」(田中氏)
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