オンラインでの説明は失礼?昔ながらの社内風土を変えるには『長尾一洋 ラジオde経営塾』5月16日(月)放送
約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は、オンラインでのコミュニケーションに関して。会社内の「画面越しの説明は失礼」とする風土にお困りの方からのご相談が寄せられました。
■オンラインでの説明は失礼?
昔ながらの風土を変えるには
ご相談者はラジオネーム『ながっち』さんです。
職業:会社員
業種:メーカー
ご相談:
「新型コロナの感染対策で、会社ではテレワークが推奨されています。しかし”対面にくらべ画面越しは失礼”といった昔ながらの感覚が残っており、上司に説明するときなどは出社せざるを得ないような状況です。どのように風土を変えていけばよいでしょうか?(一部略)」
会社の公的な方針と、実際の空気感のズレにお困りのご相談者さん。
MC八木アナも「会社としてはテレワーク推奨なのに、上司は『画面越は失礼。出てこいよ!』って言うんですかね。一体どうしたらいいんでしょう(笑)」と共感します。
長きにわたり会社経営に携わる長尾社長は、どのように回答したのでしょうか。
■特定の上司が問題?
「矛盾してますね(笑)」と話し始めた長尾社長。
まず文面だけでは判断できないものの、リモートを失礼とする風潮がある場合、様々な状況が考えられます。
・特定の上司が「対面で説明しろ」と言っている。
・若手の方々が「画面越しに説明したら失礼ではなかろうか…」と忖度している。
・無言の圧力のような空気が会社に充満している。
もし特定の上司が「オレ様に説明するなら出てこい」オーラを出しまくっているような状況なら、若手の方々が声を上げるのは非常に難しいかもしれません。
そんな場合に長尾社長が勧めるのは、”外堀から埋めていく”方法です。
■お客様とのやり取りを『コンタクトレス・アプローチ』に!
社内の空気を変えるには、オンライン説明を”当たり前”にしていくのが大切だと長尾社長。
そのためには、まずお客様とのやり取りを『コンタクトレス・アプローチ』化していく方法が考えられます。
コンタクトレス・アプローチとは、訪問など顧客とのリアルなコンタクトを減らし、オンライン等を活用して、”会わずに”接点を持ち続ける営業手法のこと。
(※参考図書には長尾社長の著書『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』がオススメ)
画面越しの説明を失礼と考える上司であれば、「お客様のところには訪問して営業すべき」と考えていることが多いもの。
しかし何よりも大切な”お客様”がコンタクトレス・アプローチを受け入れ、喜ばれているとなれば、「やっぱりそういう時代なんだな」と認識をアップデートしてくれるかもしれない。
まずお客様とのコンタクトにリモートを活用することで、社内の風土をじっくり変えていきましょう。
■お客様にもメリットは多い
リモートでの商談等が一気に浸透したのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きくなった2020年ごろから。長尾社長の会社ではそれよりかなり以前からコンタクトレス・アプローチを取り入れています。
導入の当初はどこの会社でも「失礼と思われるのでは…」という懸念もあるもの。
しかし多くの場合「やってみたら案外便利じゃん!」という声が聞かれると言います。
お客様側も、いちいち訪問されるよりリモートを喜ばれる方も多いそう。特に遠隔地などの場合、リアルでは「わざわざ来てもらって…」とお客様に気遣いさせてしまうことがありますが、オンラインなら気軽にコミュニケーションを取ることができます。
■長尾社長の会社では?
長尾社長の会社では、現在の規制が出ていない状況では、原則出社の方針を取っています。
しかしお客様とのやり取りにはコンタクトレス・アプローチの手法を活用。リモートがかなりのウェイトを占めているそう。
慣れてくると効率が圧倒的に良いのがリモートだと言う長尾社長。
「たまに社員がリアルに訪問すると、日報に『移動が疲れる…』とか書いてあったりしますね。『効率悪い』とかね(笑)」と、社員の皆さんにもコンタクトレス・アプローチがしっかり浸透している様子です。
もちろんリアルのメリットもあります。「来てくれた!」と喜ばれたり、こみ入った話ができるのは対面の良いところ。
長尾社長の会社でも必要があれば訪問するものの、できる限りリモートを活用しながら”アプローチ数を増やす”ことを重視しています。
■風土を変えるには実績が必要
ではご相談者さんが社内の風土を変えていくには、具体的にどう動けばいいのでしょうか。
「上司にリモートのメリットをプレゼンすべきですか?」と聞く八木アナに
「下手にプレゼンして攻撃されちゃいけないから、知らん顔して実績を積んでいくのがいい」と答えた長尾社長。
いわゆる『風土』というのは、誰かが指摘するだけでコロっと変わるようなものではなく、そこに根付いた空気感のようなものだと言います。
根強い空気感を変えるには「これをやると売り上げが上がる」というような実績を積み上げること。それが遠回りに見えて実は一番の近道となるそうです。
■ながっちさんへの回答まとめ
・特定の上司が「画面越しは失礼」という圧をかけてくるなら、まず外堀から埋める。
・まずお客様に対してコンタクトレス・アプローチを導入し「オンラインが当たり前」という空気を醸成。
・コンタクトレス・アプローチを喜ぶお客様は多い。高評価の声を集め、それを上げていく。
・上司に直接プレゼンすると攻撃される危険も…。コンタクトレス・アプローチの実績を積んで風土を変えよう。
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