『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 あなたのウォーキングに足りないものは◯◯かも?! 理学療法士の大渕修一さんが、大人世代の運動法を詳しく解説
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2022」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定のエッセイ。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
2022年5月7日の放送は、ゲストに理学療法士、医学博士の大渕修一さんをお迎えしました。前後編でお送りします。
前編記事はこちら:「いつまでも元気な人」の専門家・大渕修一さんに聞く、若々しさと食事の関係(大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ)
大渕修一さん プロフィール
理学療法士、医学博士。東京都健康長寿医療センター研究部長、高齢者健康増進事業支援室長、在宅療養支援研究部長。健康寿命を延ばす方法の普及活動を行う。
著書に『健康寿命の延ばし方』(中央公論新社)『70歳からの筋トレ&ストレッチ』(法研)など多数。
運動、コロナ禍もあり、なかなか続きません。
残間 運動・・・。したほうがいいのはよく分かっているのですが、どうも続かないのです。
大渕 確かに、続かない問題はありますよね。それから、コロナで外出を控える生活が続きましたし。
たまに外に出てみると「ちょっと歩いただけなのに疲れる・・・」なんて驚かれる方も多いと思います。
筋肉は何歳になっても増えるって、本当ですか?
残間 最近よく「筋肉は何歳になっても増える」と耳にするようになりましたが、これって本当ですか。
大渕 はい、増えますよ。私の研究の主たるところです。
鈴木 実際に増えた実例もあるのですか。
大渕 もちろんです。
65歳から96歳の方までを対象にして、3ヶ月間の筋力トレーニングを行い、その効果を測定したことがあります。
成果が特に顕著だったのが、78歳ぐらいの一人の女性で。
この方は普段、外にもあまり行かず、近くのお医者さんにはタクシーで行くような生活だったんです。
一人暮らしで、近く特別養護老人ホームに入所する話もあったのですが、トレーニングの結果、すっかり若返って、介護が不要になって。
研究が終わった後もトレーニングを続けられて、最終的には、昔趣味だった踊りを始められたそうです。
残間 すごい変化ですね。
高齢期の運動は「刺激的」に?!
大垣 運動にも、前編でお話しいただいた食事面でのように気をつけるべき点はありますか。
大渕 高齢期の運動のポイントは、筋肉に少しだけ「刺激」を与えることです。
たとえば、高齢の方で、ウォーキングを運動として取り入れていらっしゃる方は多いと思いますが、
そこに、筋力トレーニングなどの、無酸素運動の「刺激」を少し取り入れると、ただウォーキングをするよりも、ウォーキングの成績が上がります。
たとえば、タイムが良くなったり、楽に歩けるようになったりするんです。
それから、「膝の痛みが気になる」なんて人にも、ぜひトレーニングをお勧めしたいです。
筋肉がつくと、関節に対する負担も少なくなります。
それから、筋肉を作るときに、痛みを下げる効果のあるホルモンが分泌されるんです。これはてきめんに効果がありますよ。
「膝が痛いから、運動がダメ」と諦める前に、筋力トレーニングをしてみることはぜひお勧めしたいです。
初心者はふくらはぎを重点的に鍛えてみて
大垣 具体的には、どのようなトレーニングが効果的なんですか。鍛える部位といいますか。
大渕 まずおすすめなのは、ふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎは、人間が直立で立つときに発達させました。「第二の心臓」なんていわれることもあるほど、非常に大きな筋肉です。
おすすめの鍛え方は、爪先立ちです。
1、2、3、4とゆっくりカウントしながら爪先立ちをして、また1、2、3、4で戻す。
これを10セットほど行います。
自分の体重って、それなりに重いですよね。この重みによって程よい刺激が入り、筋肉が若返る作用を引き出すことができます。
大垣 10セット全部やっても、2分はかからない程度か。これなら、いつでもできそうですね。
大渕 爪先立ち以外ですと、歩いている最中、ときどき早歩きをしたり、坂道を走ったりなどでも、筋肉の刺激に繋がりますよ。
足が攣(つ)る人にも爪先立ちはおすすめ
残間 私、実は爪先立ち、すでに行っていました。
足がよく攣(つ)っていたんですが、お医者さんに相談したら、爪先立ちがいいということで。
意識して行うようにしたら、確かに改善してきましたね。
大渕 足が攣(つ)るので悩まれている方は多いんですよね。
筋肉が弱くなっていることや、疲労、あとは脱水していることも攣る原因の一つです。
子供の頃、夏休み、妙に足が攣(つ)る・・・なんて経験をされた方もいらっしゃると思いますが、あれはまさに脱水が原因ですね。
ですから、足が攣(つ)るので悩まれている方は、お水をこまめに摂ることを心がけていただくと、症状が改善するかもしれません。
高齢者こそ、むしろジムでトレーニングが向いているケースも
大垣 ちなみに、大渕先生の研究で行う筋肉トレーニングというのは、やっぱりジムのマシントレーニングのようなものですか。
残間 高齢の方にはマシンを使うような高負荷なトレーニングは難しいのでは・・・。
大渕 それが実は、マシンのほうがむしろいい方もいらっしゃるんです。
たとえば、シルバーカーを押して歩いているような方。
人間は、立った姿勢を保持するために「抗重力筋」とよばれる筋肉のグループを使っているんですが、こういう方たちは、立っている姿勢だけでギリギリなので、自重でのトレーニングが危ないこともあります。
そういう方たちがマシンを使うと、むしろマシンがサポートになって、楽にトレーニングができることもあるんです。
ストレッチも心がけて
残間 最近、同年代の友達と歩いていると、ゆっくり歩いていたり、それから、歩幅が狭くなっている友人も増えましたね。ペンギンちゃんみたいに「ちょこちょこ」って。
大渕 歩幅が狭くなるのは、筋肉が少なくなっていることももちろんですし、それから、股関節が硬くなっていることも考えられます。
大垣 硬くなるというと、ストレッチですか。
昔小学校の体育の授業でしたような、準備体操のようなものでいいんですか。
大渕 そうですね。あんまり難しく手順ややり方を考える必要はなく、伸ばして気持ちいい方向に伸ばします。
で、ある程度の伸びを感じたら、そこで止める。そうすると、自然に伸びていきます。
目一杯引っ張ると、組織を傷めてしまうので気をつけてください。
残間 ストレッチで痛いのは絶対にダメって言いますね。
無理なく続けて、自分らしい毎日を送ってみて
大垣 まとめると・・・。
高齢期の運動は、たとえばウォーキングなどの有酸素運動にプラスして、筋力トレーニングを少し取り入れてみる、ということですね。水分補給やストレッチも行いつつ。
この年齢になってくると、体って、放っておくとどんどん「マイナスの状態」になっていくような感じがあって。プラスとまではいかなくても、ゼロを維持するのに必死、と思っていたのですが・・・。
日常生活に、爪先立ちやストレッチをプラスするぐらいなら、無理なく続けられそうです。
大渕 はい。トレーニングって、本当にいいことづくめなんです。ぜひ続けてみてください。
鈴木 きょうは、理学療法士、医学博士、そして健康寿命を伸ばす専門家である、大渕修一さんにお越しいただきました。ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
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前編では、運動にくわえて、気になる「高齢期前の食事」についてお話しいただいています。
前編記事はこちら:「いつまでも元気な人」の専門家・大渕修一さんに聞く、若々しさと食事の関係(大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ)
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パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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