青木理が危惧。改正された少年法の課題とは。
4月20日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)にジャーナリストの青木理氏が登場。改正された少年法と、そこから起きる報道の問題点について語った。
青木理「きょうお話ししようと思っていたのが、改正されて(今年)4月1日に施行された少年法のことなんです。それまで19歳以下で犯罪をした少年は匿名でと定められてきましたが、これから18、19歳は『特定少年』として除外。実名報道することが可能になりました。実際に先日、夫妻殺害事件を起こした19歳を匿名にするか実名を出すか、メディアの対応が分かれたんです」
この実名・匿名報道の問題をめぐって、青木氏は1994年に起きた木曾川長良川リンチ殺人事件を思い出したという。
青木「かつて書いた『絞首刑』(講談社刊)という、死刑問題に関するルポルタージュ本で取材していました。戦後の同一事件で複数の元少年に死刑が確定するのは初めてという、重大な事件で。裁判の途中の段階で、(主犯格だった)元少年3人に話を聴いたんです。このとき少年法の規定に則って、本には匿名(仮名)で書きました。少年犯罪というのは更生の可能性も高い、罪は償わなければいけないけど社会の責任だってあるじゃないか、という少年法の精神が貴重だと思ったので」
しかし2011年に元少年3人の死刑は確定する。
青木「そのとき悩んだんですね。死刑制度に反対するか賛成するかは別として、人の命を国の名のもとに奪う。これって究極の国家権力の行使でしょう。確定するということは国が『将来の更生はないと断じる』のと同義じゃないですか。3人に何度も面会したけど、特にそのうち1人は自分のやったことを悔いていて謝罪、後悔の言葉ばかり口にしていた。当時は未決だから拘置所で働く必要はないけれど、自ら願い出て封筒貼りみたいな仕事をして。1日数百円しか稼げないらしいんですけど、そうして貯めたお金を被害者遺族に送っていたんですよ。見ていると『更生の可能性はない』とは思えなかったんですね」
青木氏は「やったことは許されない」「処罰はされるべき」と話しつつ、実名・匿名報道への思いも述べる。
青木「おかみ(国)がOKだから実名を出す、ダメなら出さない、というのではなくて、ひとつひとつの事例をなんのために報道するのか。メディアも考えて実名とか匿名とか、判断をしなくちゃいけないんじゃないかなと。今回、解禁されたからといって安易に実名報道すると危険で、特にネットではずっと残ってしまう。元少年の更生を妨げたり偏見を助長したり、しかねない」
壇蜜「デジタルタトゥーですね」
青木「まさにそうです」
放送ではロシア・ウクライナ問題、近年の未解決の事件にも言及された。
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